先日、当社オリジナル仏具の「津軽びいどろシリーズ」の製造現場の青森県まで新商品の打ち合わせのためお邪魔させて頂きました。
職人さんもとても忙しい中、貴重な時間を割いてまで製造体験もさせて頂きました。
その際に製造現場で感じたことや職人さんと直に話して感じたことなど色々ご紹介させて頂こうと思います。
まず、青森といったら「ねぶた祭り」ということで打ち合わせの前にねぶたの博物館を見学しました。
こちらは宿泊先の近くの風景。岩木山と自然がとても美しく、普段パソコンしか見ていないので久々に癒されました。
さて本題の仏具作りについてご紹介します。
今回お世話になったのはこちらのお二方です。
津軽びいどろの工場で大人数をまとめてらっしゃる「工場長の中川さん」と工場内でも屈指の腕を持つ「青森県伝統工芸士の篠原さん」です。
お二方とも非常に気さくに話して下さり、話していると非常に優しい人柄が伝わってきます。
まずはじめに中川工場長のご案内で実際の製造現場を拝見させて頂きました。
まず初めに感じたのは誰も喋って仕事している従業員がいなかったこと。皆、ガラスと真剣に向き合って、ガラスと対話し、一つ一つ丁寧に作っているんだなと感じました。また仕事に対して真面目な東北の方々の気質でもあるのかもしれません。
こちらはスピン成型という形式で同じ形のガラスを大量に作りだす作業。コップやグラスなどの大量ロット製品はこちらの技法だそうです。(当社仏具はこちらの技法ではありません)
職人を目指す若い作業者の方々が4人一組になって手際よくガラスを型に入れて成型していました。
中川工場長は「彼らは早く篠原のようになりたくて下積みを頑張っているんだ」とおっしゃっていました。篠原さんのように伝統工芸士になれるのはほんの一握り。それも並々ならぬ努力と才能を持ち合わせていないとなれないものだと思います。
実は僕も彼らのように職人を目指していた時があったのでそんな時期をふと思い出して、頑張ってほしいなと思いました。
次にルミエールの仏具で採用して頂いている宙吹きという技法。
「宙吹き」は、坩堝から高温で溶かしたガラスの素地を必要な分だけ棹に巻き取り、息を吹き込んで空中で成形するガラス工芸技法です。ドロドロに溶けたガラスを、棹を回しながら形を整えていきます。中央の方は「下玉」といって製品のベースとなるものを作成しています。この下玉がすべての製品の基礎になり、これがうまく作れないと製品にならないそうです。
また工場を見学していて驚いたのは女性の多さ。
ガラス作りは非常に繊細な作業です。それゆえ、女性の美的センスや集中力などもガラス作りに求められる大切な要素のひとつなのではないかなと感じました。
また篠原さんとの話の中でふと感じたことがありました。
それは仏具の販売価格のことでルミエールでは津軽びいどろの仏具を現在4万円程度で販売させて頂いています。他社の大手仏壇店だと違う形状・色合いですが、津軽びいどろの仏具を10万円超えの価格を付けています。
その現状を踏まえてだと思うのですが、篠原さんはふと僕にこう言いました。
「それぐらいの価格(当社の販売価格ぐらい)で販売してくれた方がいい」と。
この言葉の意味を自分なりに考えたのですが、作り手として多くの方々の手に触れて、使ってもらいたいという想いがあるんだなと感じました。
当社はギフト部門もあるので仏壇・仏具だけでなくギフト商品など色々な商品を販売しています。その中で篠原さんのような考えをもっているメーカーさんは僕の中で初めてでした。どんなメーカーさんも値崩れなどを恐れて「定価で高く販売してくれ」というのが一般的です。
僕の理想は、お客様が納得して頂ける価格であることと、篠原さんの言う通り、多くのお客様の祈りの道具として選んで頂きたい。その想いがメーカーさんと合致しているということは当社としてもお客様にしても一番いいことだと思っています。
また中川工場長と篠原さんのお気遣いで津軽びいどろの制作体験もさせて頂きました。
また実際にお伺いして製造体験などさせてもらえるとは思ってもいなかったのですが、やってみようと言って下さりとても嬉しかったです。
初めての体験でしたので最初は緊張し、変な力が入ってしまいましたが、篠原さんは後輩に仕事を教えるかのごとく、非常に細やかに丁寧に教えて下さいました。誠にありがとうございました。
仏具のシリーズテーマは「春夏秋冬」の季節ごとの色合いを4色制作するプロジェクトで、現在「春と秋」のカラーを制作して頂いております。恐らく発表は今年中には出来そうですが、今しばらく発表までお待ち頂ければ幸いです。