念珠(数珠)について

1.念珠についてabout

念珠(別名:数珠)は、清浄な心で仏様に手を合わせる念珠の輪の中に手を通すことで、浄土の世界と繋がる、仏様の境地に近づけることのできる大切な法具です。最近では法事や葬儀の時だけご使用になるのが一般的になりつつありますが、日常のお仏壇に手を合わせる際にもご使用頂くことで、浄土の世界にいる故人様やご先祖様と繋がることが出来ると考えればあると良い仏具です。

仏教を作ってきた偉人達も必要性を説いています。浄土宗の法然上人は「身を浄め、手を洗いて、珠数(念珠)を取れ」と言われたり、浄土真宗の蓮如上人は「当山の念仏者の風情を見及ぶに、珠数(念珠)の一連をも、 持つ人なし。さるほどに仏をば手づかみにこそせられたり」と書かれています。要約すると仏様に向かうときには、念珠を手にするようにと、戒めています。なお、念珠は一連、二連と数えます。

2.念珠の歴史history

念珠は古代インドで生まれました。お釈迦様の生誕(紀元前566年頃)よりも古くからあったといわれています。日本へは、仏教の伝来とともに飛鳥時代には伝わったとされ、当時は非常に貴重なもので僧侶の間でもごく一部にしか使用されていませんでした。

念珠はもともと木草の実をつなぎ合わせ、そろばんのように何度お念仏を読んだかを記憶する為のお道具だったとされています。それが後に、宗教用の礼拝具として使用されるようになり、現在の念珠の形になりました。

3.念珠の名産地「京都の京念珠」kyo-nenjyu

念珠は京都が本場で、全国の約9割の念珠が京都で製造されているといわれています。そのなかでも「京念珠」とは、特許庁に京都での念珠製造の伝統、品質を守るために商標登録された「京都数珠製造卸協同組合」の伝統工芸品の「地域ブランド京念珠」のことです。京念珠には「京念珠組合」のタグがついています。

京念珠タグと京念珠マーク

京念珠は、基本的にすべて職人の手作りです。紐や房は、職人の手によって編まれます。玉通し、房作り、糸組みと、根気の要る仕事です。一日にできあがる数は知れたものです。したがってメーカーは多くの職人を抱えています。「毎朝、 沐浴して心身を清浄にし、下着を新しくして、一粒一粒 に心をこめて作ります」と語る、珠数一筋何十年という職人や、主婦の内職によって今日まで支えられてきた歴史があります。

そういう人々が丹精こめて、一つ一つを力の強弱をつけながら仕上げていきます。その微妙な強弱の加減が、丈夫で長持ちする念珠となるのです。職人を大切にし、かたくなに職人による手作りにこだわるのも、京念珠の特徴の一つです。広く一般に愛用され続けているのも、そのせいかもしれません。

4.念珠の選び方How to choose

念珠は1人1連を持つことがマナーで基本的に貸し借りはNGです。なので、下記の念珠の選び方を参考に、ご自身にあったお気に入りの念珠を見つけて下さい。

4-1.略式念珠 or 本式念珠念珠の選び方

念珠は大きく分けて2種類の形式があります。全宗派共通で使える略式念珠(片手念珠)、宗派によって形の異なる本式念珠(正式念珠)があります。若いうちは「略式数珠」、年齢を重ねるとともに「仏教の教え」の考え方も深まり、「本式数珠」をご購入される方も多くいらっしゃいます。また、ご自身のお家でのお葬式・法要・法事・お墓参りには「本式数珠」、知人のお葬式などには「略式数珠」と、使い分けられるお客様もいらっしゃいます。

略式念珠(片手念珠)とは

略式念珠(または片手念珠)と呼ばれる念珠は珠の数を少なくした念珠のことで、宗派を問わず皆様にお使いいただけます。一般の方が広く馴染みのある念珠といえばこちらの略式念珠のイメージでしょう。本式の念珠の場合珠は108珠ありますが、略式念珠の場合は伝統的な珠数にこだわらず22・3個で製作されたものもあります。男性用と女性用で別れており、珠の大きさや色合いなどが異なります。

男性用の略式念珠
女性用の略式念珠

本式念珠(正式念珠)とは

本式念珠(または正式念珠)はそれぞれの宗派の正式な念珠のことで、宗派によって珠数の数や房の形が異なります。また同じ宗派でも男性用・女性用でデザインが変わる宗派もあります。以下は各宗派の本式念珠の形状です。

浄土宗
(男女共通)
浄土真宗
(男性用)
浄土真宗
(女性用)
天台宗
(男女共通)
真言宗
(男女共通)
浄土宗(男女共通)の本式念珠浄土真宗(男性用)の本式念珠浄土真宗(女性用)の本式念珠天台宗の本式念珠真言宗の本式念珠
浄土宗の本式念珠の持ち方と教え浄土真宗の本式念珠の持ち方と教え天台宗の本式念珠の持ち方と教え真言宗の本式念珠の持ち方と教え
臨済宗
(男性用)
臨済宗
(女性用)
曹洞宗
(男性用)
曹洞宗
(女性用)
日蓮宗
(男女共通)
臨済宗(男性)の本式念珠臨済宗(女性)の本式念珠曹洞宗(男性)の本式念珠曹洞宗(女性)の本式念珠日蓮宗の本式念珠
臨済宗の本式念珠の持ち方と教え曹洞宗の本式念珠の持ち方と教え日蓮宗の本式念珠の持ち方と教え

また余談ですが本式念珠をお葬式の際に持参する際はご自身の宗派に合わせた念珠を持参するカタチで良いでしょう。

4-2.珠の種類念珠の選び方

念珠の素材には、天然木を使用した木材の珠、艶やかな天然石の珠、天然素材の真珠の珠などがあります。それぞれの特徴をご覧ください。

木材の珠木で出来た珠は軽く、柔らかな艶と手触りが特徴です。また使い込むほどに色が変化し手に馴染んでくる特性があり、経年の表情の変化をお楽しみいただけるでしょう。紫檀・黒檀・鉄刀木などの唐木三大銘木などもお仏壇などと比べると比較的リーズナブルです。それは部材が小さい為、木目の選定などが少ない為です。木材価値として非常に高価な香木(白檀や沈香etc)の念珠などもあります。
天然石の珠種類も豊富で好きなカラー・美しい艶・透明感などが楽しめます。石の意味や言い伝えなども様々あり、パワーストーンとしての意味を参考に、ご購入頂くのも良いでしょう。お手入れは一番楽で、経年後の変化も少なく綺麗にお使い頂けるでしょう。またパワーストーンとしての意味を重視される方は浄化をされることで石に宿ったマイナスのエネルギーをリセットしてくれるといわれています。浄化の方法は様々ありますが、使用後に「水晶のチップ(当店の香炉石が使えます)」の上に置いておくと浄化されるといわれています。
真珠の珠真珠は守護の力が強いとされ、古くから魔除けのお守りとして珍重されてきました。 また、美しさを象徴する石とも言われ、若さと健康を保つ力があるとされてきました。お手入れの方法としましては真珠は主成分が炭酸カルシウムです。酸、熱、水に弱いのが特徴です。汗やほこりが付いたままにしておくと光沢が失われ、変色などの原因になります。使用後は柔らかい布なので拭くことで経年後も美しく使用できます。

4-3.房の種類念珠の選び方

房の素材

念珠の房の素材は主に下記の2種類のみです。

正絹
【別名:シルク】
正絹(別名:シルク)は、カイコの繭からとった動物性繊維で柔らかくて軽く、吸湿性通気性に富みます。肌と同じタンパク質で形成された絹素材は、化学繊維よりも肌にも優しい素材で美しい風合いをもっています。当店で取り扱っている念珠はすべて正絹(シルク)です。ちなみに京都で念珠作りが盛んになった歴史的背景として京都は絹織物の産地であったためと言われています。
人絹
【別名:レーヨン】
人絹(別名:レーヨン)は絹に似せて作った再生繊維であり、昔は人絹(じんけん)と呼ばれていた名残りから念珠メーカーでは人絹と表記されます。見た目には、差は分かりません。しかし、手触りは当然ながら正絹(シルク)の方が良く、独特の光沢としなやかさがあります。正絹に比べて値段は安くなりますが、品質の観点から当店の念珠は人絹(レーヨン)を使用した念珠は取り扱っておりません。

房の形状

念珠の房の形状については様々ありますが、略式念珠の場合は特に選び方に決まりはありませんが、一般的には頭房が多いでしょう。本式念珠は宗派別で房の形が決まっていますので房を指定して選ぶことは少ないとは思いますが、代表的なものをご紹介します。

頭房新松房紐房菊梵天華梵天
(メーカーオリジナル房)
頭房(念珠の房の形状)新松房(念珠の房の形状)紐房(念珠の房の形状)菊梵天(念珠の房の形状)華梵天(念珠の房の形状)
片手念珠で最もポピュラーな頭房。初めて念珠を持つ方におすすめです。頭房によく似ていますが、頭房に比べ、房の一本一本が細く、上品で繊細な印象の房です。男性用の浄土真宗・曹洞宗・臨済宗の本式念珠の房でもありますが、これらの宗派でない方でもこちらの形状が好みで選ばれる方もいます。表面がふわふわで丸いぼんぼりのような房です。華梵天・かがり梵天・小田巻梵天は菊梵天とフォルムは同じですが、表面のふわふわの質感は菊梵天の特徴です。類似した房でかがり梵天・小田巻(これらは接着剤を使用することもある)などとも呼ばれますが、華梵天は軸から編み込まれるメーカーオリジナル房なので強度が強いのでルミエールのおすすめです。

5.念珠のお手入れ・保管についてCare nenjyu

念珠の珠のお手入れは、眼鏡ふきなどの柔らかい布を使って使用後に優しく拭くだけでかなり綺麗な状態を保てます。特に真珠の念珠などは柔らかい布で拭くことで真珠の経年後の姿は大きく変わります。また天然石などでパワーストーンとしての意味も気にされる方は浄化をおすすめいたします。浄化をすることで石に宿ったマイナスのエネルギーをリセットしてくれるといわれています。浄化の方法は様々ありますが、使用後に「水晶のチップ(当店の香炉石が使えます)」の上に置いておくと浄化されるといわれています。

房の部分は曲げたまま保管するとクセが付いてしまう為、保管の際は購入時の念珠の箱にいれて保管するか、念珠をかけておくことで房が綺麗に保管できます。

念珠のお手入れ・保管

もし万が一、クセが付いてしまった場合はお湯を沸かし、湯気が出てきたらその蒸気にあて、優しく伸ばすように房を撫でていただくと綺麗に戻ります。ただし、この方法が有効なのは正絹房(シルク)で、安価な人絹房(レーヨン)は綺麗に戻りません。

6.念珠の修理についてRepair

念珠も長年使用していると「中糸」と「房」がどうしても痛んでしまいます。やはり修理で一番多いのは中糸が切れてしまってバラバラになってしまった、とご相談頂くことが多くあります。修理をご希望される方はご自身の念珠に愛着を持っておられてるからこそ修理されるという方が多いかと存じます。

念珠の修理は「念珠の修理依頼ページ」から修理依頼することが出来ます。ご自宅まで念珠を修理にお伺いさせていただく為、家で集荷を待つだけなので非常に便利です。当店で購入された方はもちろん、他で購入させた念珠も修理可能です。是非ご利用下さい。

7.念珠の持ち方How to hold

念珠の持ち方をご紹介いたします。どの宗派も共通で使える略式念珠(片手念珠)の持ち方から、各宗派によって持ち方が異なる本式念珠(正式念珠)の持ち方までご紹介いたします。

7-1.略式念珠の持ち方念珠の持ち方

どの宗派も共通で使える略式念珠(片手念珠)は「左手に掛けて右手をあわせる合掌の仕方」と「両手を入れて手を合わせる合掌の仕方」があり、どちらでも大丈夫です。また念珠を手に持ち移動する際は、左手に持ちます。

略式念珠の持ち方

7-2.本式念珠の持ち方と教え念珠の持ち方

各宗派によって形が異なる本式念珠(正式念珠)は持ち方も各宗派でことなります。各宗派ごとの持ち方は各リンクをご確認下さいませ。

浄土宗の本式念珠念珠の持ち方と教え

浄土宗は、僧侶が使う「荘厳珠数」、大勢で唱える「百万遍珠数」、数取りのできる「日課珠数」の3種類があります。一般的に「日課珠数」が多く使われており、僧俗問わず常用する定番の珠数ですので檀家、信徒の方はこの珠数を使って頂くのがおすすめです。日課珠数は「1日に〇回の念仏を唱えます」と日課制約をしてお念仏に励むための珠数と云われています。

浄土宗の本式念珠の各部位の説明

日課珠数の女性用は40と27個の主玉で構成された六万遍用、男性用は27と20個の主玉で構成される三万遍用と呼ばれます。どちらも珠の数が異なるだけで形状は同じです。2つの輪からなる浄土宗独特の形状で、1つは主玉から、もう1つの輪は主玉と副玉でできています。2つ目の輪からは銀輪につながった梵天の房が垂れています。

浄土宗の本式念珠
浄土宗の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

珠数を両親指にかけ、房は手前(ご自身側)に垂らします。両方の輪の親玉を親指で押さえるようにします。

浄土宗の本式念珠の持ち方【合掌するとき】
浄土宗の本式念珠の持ち方【念仏をとなえるとき】

房の付いていない輪を親指と人差し指の間にかけ、房付きの輪を人差しと中指の間にかけます。そのまま握り、念仏をとなえます。念仏のたびに親指で手前に操ります。

浄土宗の本式念珠の持ち方【念仏をとなえるとき】

浄土真宗の本式念珠念珠の持ち方と教え

浄土真宗は、唱える念仏の数にこだわらないので念珠の珠を擦ることはしません。そのため珠の数に決まりはなく、数取りできないように「蓮如結び」という紐の結び方があります。

浄土真宗(男性用)の本式念珠の各部位の説明

男性用は略式念珠を使われることが多く、房は紐房を多く使われます。

浄土真宗(男性用)の本式念珠
浄土真宗(男性用)の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

男性はそのまま両手にかけて合掌します。

浄土宗の本式念珠の持ち方【合掌するとき】
浄土真宗(女性用)の本式念珠の各部位の説明

女性用は、108の主玉に四天玉が4つ入った輪に「蓮如結び」といわれる独自の結びが入った房が親玉からつながっています。

浄土真宗(女性用)の本式念珠
浄土真宗西本願寺派(女性用)の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

二輪にして両手にかけ、房を下に垂らします。

浄土真宗西本願寺派(女性用)の本式念珠の持ち方【合掌するとき】
浄土真宗東大谷派(女性用)の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

二輪にして両手にかけ、房を左側に垂らします。そして親玉をそろえて親指ではさむようにします。

浄土真宗東大谷派(女性用)の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

天台宗の本式念珠念珠の持ち方と教え

天台宗の念珠は、人間の持つ煩悩の数と同じ108玉でできております。108個つなげた念珠を持つことにより、煩悩を消し去り、身を清めると言われています。

天台宗の本式念珠の各部位の説明

天台宗は、そろばん玉のような平たい108個の主玉が基本とされ、1個の親玉、4個の四天玉からできています。親玉の下からは、弟子玉(10個の丸玉と20個の平玉)、その下に露(つゆ)と呼ばれる玉がついています。房は丸い梵天が使用されています。

天台宗の本式念珠
天台宗の本式念珠の持ち方

手に持つときは左手で二輪にし、そのまま握って持ちます。房は手の甲側に垂らします。

天台宗の本式念珠の持ち方
天台宗の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

人差し指と中指の間にかけます。そのまま手を合わせます。房は下に垂らします。

天台宗の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

真言宗の本式念珠念珠の持ち方と教え

真言宗では、珠数を重要視しており、例えば百八の数は金剛界の百八尊。親玉は大日如来の智慧を表し、それを取り囲む四天玉は宇宙を表現した曼荼羅の四方四仏(弥陀・宝生・あしゅく・釈迦)、あるいは普賢・観音・文殊・弥勒の四菩薩という解釈をします。

真言宗の本式念珠の各部位の説明

108個の主玉が基本とされ、2個の親珠、4個の四天(天珠)を加えて構成されています。 親玉の両側には 10 個ずつの弟子珠(記子)加えられ、弟子珠の先には露珠がつけられています。片側の弟子珠(記子)と親珠の間にある小さな珠は浄名珠と呼ばれています。 浄名珠がある方の親珠を母珠(表親)。反対側の親珠を稽留(裏親)とも呼ばれています。それらに菊房や華梵天、小田巻などの梵天が使用されます。中を通している糸は赤色で 通す場合もあります。赤の糸には厄除けの意味もあります。

真言宗の本式念珠
真言宗の本式念珠の持ち方

親玉を上にし、二輪にして手にかけ房ごと握るようにします。

真言宗の本式念珠の持ち方
真言宗の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

珠数を両手の中指にかけ、そのまま手を合わせて合掌します。真言宗は念珠を擦り鳴らして音をたてます。珠数を擦ることは百八煩悩をすり砕き、百八菩提の正常な光明を磨きだすことだと、「金剛頂瑜伽念珠軽」に説かれています。

真言宗の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

臨済宗の本式念珠念珠の持ち方と教え

臨済宗には「出入りの息をもって、念珠となす」の姿勢があり、座禅を重んじますが、そのせいでしょうか、珠数の作法にも規定がありません。

臨済宗(男性用・女性用)の本式念珠の各部位の説明

108個の主珠が基本とされ、1個の親珠(母珠)、1個の向珠、4個の四天で 構成されています。親珠(母珠)、向珠、四天の間に 18 個ずつ主珠が入っているのが特徴になります。基本的に曹洞宗と似ているのですが曹洞宗用には銀輪が入りますが、臨済宗派は銀輪が入りません。また四天玉の入り方も曹洞宗と異なります。

臨済宗(男性用・女性用)の本式念珠
臨済宗(男女共通)の本式念珠の持ち方

持つときは二輪にして手にかけ握ります。房は下に垂らします。

臨済宗(男女共通)の本式念珠の持ち方
臨済宗(男女共通)の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

二輪にして左手の親指と人差し指の間にかけて合掌します。房は下に垂らします。

臨済宗(男女共通)の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

曹洞宗の本式念珠念珠の持ち方と教え

曹洞宗には「出入りの息をもって、念珠となす」の姿勢があり、座禅を重んじますが、そのせいでしょうか、珠数の作法にも規定がありません。曹洞宗の珠数には輪(環)がついています。その意味あいは、和」を表わしているとか、仏陀 の象徴である法輪であるとか、珠数を保管するとき、棚の上や足下などには置けないので、どこかに掛けておくためとか、いろいろ伝えられていますが、明確ではありません。昔からの習慣のようですが、大宇宙を表していると考えてもよさそうです。

曹洞宗の本式念珠の各部位の説明

108個の主珠が基本とされ、1個の親珠(母珠)、1個の向珠、4個の四天で 構成されています。親珠(母珠)、向珠、四天の間に 18 個ずつ主珠が入っ ているのが特徴になります。また、金属製の輪が入っているのも曹洞宗用珠数の特徴です。房は紐房、ヨリ房どちらも使用されます。

曹洞宗の本式念珠
曹洞宗(男女共通)の本式念珠の持ち方

持つときは二輪にして手にかけ握ります。房は下に垂らします。

曹洞宗(男女共通)の本式念珠の持ち方
曹洞宗(男女共通)の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

二輪にして左手の親指と人差し指の間にかけて合掌します。房は下に垂らします。

曹洞宗(男女共通)の本式念珠の持ち方【合掌するとき】

日蓮宗の本式念珠念珠の持ち方と教え

日蓮宗は祈祷するとき、木剣と数珠を組み合わせたものを打ち鳴らすので黒檀や紫檀といった硬くて丈夫な木材のものがよく選ばれます。108個の主玉の間にある四天玉は、末世に法華経を伝える4人の菩薩を意味し、四菩薩と呼ばれています。

日蓮宗の本式念珠の各部位の説明

108個の主珠が基本とされ、2個の親珠、4個の四天を加えて構成されています。 浄名のある親珠のほうに 20個の弟子珠(記子)、もうひとつの親珠には3つの房があり、2本には5個ずつの弟子玉、もう1本には数取り用に10個の数取玉がついています。 房は菊房や華梵天、小田巻などの梵天が使用されます。 日蓮正宗の場合は、同型にて房色が白色に限られています

日蓮宗の本式念珠
日蓮宗の本式念珠の持ち方【持つとき&合掌するとき】

持つときは二輪にして左手にかけ房は下に垂らします。

日蓮宗の本式念珠の持ち方【持つとき&合掌するとき】
日蓮宗の本式念珠の持ち方【お題目を唱えるとき】

唱題や回向のときは房が三つ付いている方を左手の中指にかけ、ひとひねりしてから他方を右手の中指にかけます。房を外に垂らし、そのまま手を合わせます。

日蓮宗の本式念珠の持ち方【お題目を唱えるとき】
  • 唱題とは…法華経の題目を唱えること。
  • 回向とは…読経・布施などをおこなって死者の冥福を祈ること。