曹洞宗のご本尊・脇侍の種類・選び方

このページでは「曹洞宗」における本尊・脇侍はどのような仏を飾るのかと、曹洞宗の本尊・脇侍の飾り方の知識を深めて頂くためのページです。普段、宗派に関心のない方も、「こんな宗派だったんだ」と知るきっかけになれば嬉しいです。また自身の宗派が分からないという方は「家の宗派を確認する方法」をご覧いただき、自身の宗派を特定してからご覧ください。

曹洞宗の総本山「永平寺/總持寺」

そもそも曹洞宗ってどんな宗派?

曹洞宗は、座禅を通じて心を静かに落ち着け、自分自身と向き合うことを大切にする仏教の宗派です。鎌倉時代に道元禅師が中国から禅の教えを伝え、瑩山禅師が全国に広めました。お釈迦様(釈尊)と道元禅師、瑩山禅師を「一仏両祖」として仰ぎます。基本である「只管打坐(しかんたざ)」は、ただ座ることに集中する修行で、「誰もが今の自分を通して仏に近づける」という道元禅師の教えです。

曹洞宗のご本尊・脇侍

お仏壇左側常済大師(瑩山禅師) お仏壇中央釈迦如来(座釈迦) お仏壇右側承陽大師(道元禅師)
曹洞宗のお仏壇の脇侍の常済大師(瑩山禅師) 曹洞宗のお仏壇の本尊の釈迦如来(座釈迦) 曹洞宗のお仏壇の脇侍の承陽大師(道元禅師)
道元禅師から4代目の瑩山禅師(けいざんぜんじ)によって曹洞宗は日本中に広まっていきました。曹洞宗の隆盛は、瑩山禅師とその門下によるものであり、その功績から、曹洞宗では釈迦(お釈迦様)と道元禅師に並び「一仏両祖」として尊崇されています。 仏教の開祖として親しまれる「お釈迦さま」は、正式には「釈迦如来」と呼ばれます。古代インドの小国、釈迦族の王子で妻や子供もいた実在の人物です。一切の地位や財産を捨て、質素な一枚の衣を身にまとったその姿は、仏教の清貧な生活を象徴しています。 道元禅師(どうげんぜんじ)は鎌倉時代初期の禅僧で曹洞宗の開祖です。24歳で中国に渡り、天童如浄(てんどうにょじょう)禅師のもとで修行し、28歳で帰国しました。「只管打坐(しかんたざ)」を説き、永平寺(福井県)を開山して禅の教えを広めました。

ご本尊・脇侍の「お仏壇への飾り方」

ご本尊のみで飾る場合

掛け軸のみで飾る 仏像のみで飾る 仏像+ミニ常花で飾る
曹洞宗の本尊を掛け軸のみで飾るイメージ 曹洞宗の本尊を仏像のみで飾るイメージ 曹洞宗の本尊を仏像+ミニ常花で飾るイメージ
ご本尊を掛け軸のみで飾る方法です。仏像に比べて少し略式となりますが、おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 ご本尊を仏像で飾った例です。仏像で飾ることで存在感があり、お仏壇の存在感が出てきます。 ご本尊を仏像で飾り、その脇に仏教で重要とされる蓮の花の「ミニ常花」を飾ることで、ご本尊を引き立てるおすすめの飾り方です。

ご本尊+脇侍をしっかり飾る場合

掛け軸(3尊)で飾る 仏像+掛け軸(両脇)で飾る 仏像(3尊)で飾る
曹洞宗の本尊を掛け軸(3尊)で飾るイメージ 曹洞宗の本尊を仏像+掛け軸(両脇)で飾るイメージ 曹洞宗の本尊を仏像(3尊)で飾るイメージ
掛け軸(3尊)で飾る方法です。3尊飾ることで曹洞宗の教えに、より沿うお飾りとなります。おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 ご本尊を仏像で飾り、両脇を掛け軸で飾る方法です。仏像で飾ることで存在感があり、また曹洞宗の教えに、より沿うお飾りでとても丁寧な飾り方です。 ご本尊・両脇侍ともすべて仏像で飾る方法です。予算が必要ですが、最も丁寧な飾り方といえるでしょう。

曹洞宗の知識とお参りの作法

総本山

永平寺(福井県)と總持寺(神奈川県横浜市)。道元禅師が開いた永平寺と、瑩山禅師が拡大に貢献した總持寺が曹洞宗の双本山です。

主な経典

「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」。道元禅師が座禅や仏教の真理について著した曹洞宗の重要な経典です。

線香の本数

線香は1本を香炉に立てて供えます。

お唱えする言葉

曹洞宗では特定の念仏を唱えるよりも、座禅を中心とした修行を重視しますが、法要などでは「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」が唱えられることがあります。

南無釈迦牟尼仏とは

南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)は、お釈迦様への帰依を表す言葉です。
  • 南無(なむ):サンスクリット語の「ナモー」に由来し、「帰依する」「頼る」という意味。
  • 釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ):お釈迦様の正式な尊称で、「釈迦族の聖者」という意味を持ちます。
この言葉を唱えることで、お釈迦様への感謝と仏教の教えを実践する意志を表します。

曹洞宗の主な年間行事

1. 修正会(しゅしょうえ)

  • 時期:1月1日~1月3日
  • 内容:新年を迎え、お釈迦様や両祖への感謝を込めて祈る法要です。
  • 理由:新たな一年を仏法の教えに立ち返って始める伝統的な行事です。

2. 両祖忌(りょうそき)

  • 時期:道元禅師忌(2月、または旧暦)・瑩山禅師忌(4月、または旧暦)
  • 内容:曹洞宗の両祖である道元禅師と瑩山禅師の遺徳を偲び、感謝する法要です。
  • 理由:両祖の教えを再確認し、禅の精神を学ぶ機会です。

3. 施餓鬼会(せがきえ)

  • 時期:お盆(7月または8月)
  • 内容:亡き人を偲び、供養する法要です。
  • 理由:ご先祖様や故人への感謝を込め、仏教の慈悲の心を表す行事です。

4. 成道会(じょうどうえ)

  • 時期:12月8日
  • 内容:お釈迦様が悟りを開いた日を記念する法要です。
  • 理由:お釈迦様の教えに触れ、仏法の意義を学び直す行事です。

5. 開山忌(かいさんき)

  • 時期:寺院によって異なる
  • 内容:それぞれの寺院を開いた祖師を偲ぶ法要です。
  • 理由:寺院の歴史や仏教の伝統を大切にする行事です。