真鍮製の仏具は、仏具セットやおりん中で最も種類が多く使われています。しかし、経年劣化による汚れや錆は避けられません。この記事では、真鍮製仏具の適切なお手入れ方法と、錆が発生した場合のサビ取り方法を詳しく解説します。日常のお手入れから応急処置まで、具体的な手順を分かりやすくご紹介します。
真鍮製仏具が錆びる原因を知る
真鍮製仏具はルミエールの全ての商品では新品の状態では錆びないようにしっかりと表面コーティングされています。
ですが、経年の使用による小傷などでコーティングが剥がれ、その部分に手の汗や水分などで錆が発生することがあります。
真鍮製仏具が錆びる主な原因は「小キズ・手の汗・湿気」だと覚えて下さい。なのでなるべく仏具は触らないことが意外と綺麗に保つ秘訣だったりもします。
真鍮製仏具の日常のお手入れ
真鍮の輝きを保つためには、こまめな日常のお手入れが大切です。毎日の簡単なケアで、錆の発生を予防し、長期間美しい状態を維持することができます。
- 乾拭き:柔らかい布で、仏具の表面の埃や汚れを優しく拭き取ります。埃を放置すると、汚れがこびりつきやすくなります。
- ぬるま湯拭き:乾拭きだけでは落ちない汚れには、ぬるま湯を含ませた柔らかい布で拭きます。その後は必ず乾拭きを行い、水分を完全に拭き取ってください。水分が残ると、錆や変色の原因となります。
- 防錆油の使用:真鍮専用の防錆油(サビーヌブラス、KURE 5-56など)を塗ることで皮膜をつくることができます。ルミエールの店舗の展示仏具はお客様が多く手に取るため錆びやすいので、この防錆油で皮膜を作り、錆びを防いでいます。ただし、表面の仕上げが特殊な一部仏具は使用NGです。(例:makoto 萌緑、makoto 墨黒)
真鍮製仏具に錆が出た場合の対処法
長年の使用や保管状態によっては、真鍮製の仏具に錆が発生することがあります。錆を発見したら、早めに対処することが重要です。放置すると、錆が広がり、仏具の劣化を早めてしまいます。
軽い錆の場合
重曹と水を混ぜてペースト状にしたものを、錆の部分に塗布します。
重曹ペーストは、錆や汚れを取り除くための家庭で簡単に作れる便利なアイテムです。作り方はとてもシンプルで、重曹と水を混ぜるだけです。重曹と水の比率は「重曹2に対して水1」が目安です。例えば、重曹大さじ2に対して水大さじ1を加えると、クリーム状のペーストが完成します。水は少しずつ加えて混ぜると、ちょうど良い粘り気に調整できます。
このペーストは弱アルカリ性(pH 8〜9)で、錆の原因となる酸性成分を中和する働きがあります。また、重曹の粒子は非常に細かいため、軽い研磨効果を持ちつつも、真鍮の表面を傷つけにくいという特徴があります。
使い方としては、まず重曹ペーストを錆びた部分に少量塗布します。その際、指や綿棒を使うと細かい部分にも均一に塗り広げることができます。ペーストを塗布したら、5分ほど放置して錆を柔らかくします。その後、柔らかい布で円を描くように優しく磨いてください。錆が目立たなくなったら、水またはぬるま湯で重曹をしっかり洗い流し、最後に乾いた布で丁寧に水分を拭き取って仕上げます。
重曹ペーストは環境にも優しく、真鍮製仏具のお手入れにぴったりの方法です。ただし、初めて使用する場合は、目立たない部分でテストを行い、真鍮の状態に適しているか確認してから使用するのが安全です。
錆が取れた後は防錆油(サビーヌブラス、KURE 5-56など)を塗っておくと完璧です。
重い錆の場合
重い錆が発生した場合には、市販の真鍮専用研磨剤がおすすめです。当店では金属磨きでは有名な「ピカール」を使用しています。また、粒子の粗いコンパウンドが入った研磨剤は表面に傷をつける可能性があるため、選ぶ際には注意してください。
使用する際は、柔らかい布に少量の研磨剤を取り、磨いていきます。錆が取れたら、研磨剤を布でしっかり拭き取り、必要に応じてぬるま湯で表面を軽く洗い、乾いた布で水分を完全に拭き取ります。
研磨によって酸化膜が取れると、上記の画像のように真鍮の色合いが明るくなる場合が多くあります。全てピカピカになって色合いが変わることが嫌な場合は、錆びた部分だけをピンポイントで磨くようにしましょう。
最後に錆が取れた後は防錆油(サビーヌブラス、KURE 5-56など)を塗っておくと皮膜ができて錆びにくくなります。逆に防錆油を行わないと「すっぴん」の状態ですので、すぐに錆びます。
当店では防錆油にサビーヌブラスを使用していますが、ほんの少しべたべたした感じがあります。ですが皮膜はしっかりとしています。逆にKURE 5-56はサラサラとしているのですが、デメリットとしては臭いがあることと、長期間の皮膜という点ではサビーヌブラスには劣るかなという印象です。
錆取りを行うと大きく色が変わってしまう仏具の例
仏具の中には表面の塗装色と下地が大きくイメージが異なるものがあります。イメージが変わってしまってガッカリなどならないようにしていただければと思います。下記の画像は大きく画像の色合いが変わってしまう例です。
まとめ
真鍮製仏具は、適切なお手入れをすることで、その美しさを長く保つことができます。特に錆びていない状態でも年に1回でいいので防錆油を塗ることで数年後の姿が全然違います。また錆が発生したら早めに対処することで、仏具を末永くつかうことができます。この記事が、皆様のお手入れの役に立てば幸いです。ご視聴ありがとうございました。