念珠の選び方

念珠(数珠)を選ぶとき、「宗派で形が違う?」「略式と本式のどちらが必要?」「男性用女性用の違いは?」と迷われる方は多くいらっしゃいます。念珠には大きく分けて略式念珠と本式念珠があり、用途や宗派に合わせた選び方が大切です。このページでは、種類の違いからサイズ・房・素材のポイントまで分かりやすく解説します。

念珠の基礎知識と選び方

念珠(数珠)を持っている女性イメージ

念珠(数珠)とは

念珠(別名:数珠)は、清浄な心で仏様に手を合わせる「念珠の輪の中に手を通すことで、浄土の世界と繋がる、仏様の境地に近づけることのできる大切な法具」です。

最近では法事や葬儀の時だけご使用になるのが一般的になりつつありますが、日常のお仏壇に手を合わせる際にもご使用頂くことで、浄土の世界にいる故人様やご先祖様と繋がることが出来ると考えればあると良い仏具です。

仏教を作ってきた偉人達も必要性を説いています。浄土宗の法然上人は「身を浄め、手を洗いて、珠数(念珠)を取れ」と言われたり、浄土真宗の蓮如上人は「当山の念仏者の風情を見及ぶに、珠数(念珠)の一連をも、 持つ人なし。さるほどに仏をば手づかみにこそせられたり」と書かれています。要約すると仏様に向かうときには、念珠を手にするようにと、戒めています。

なお、念珠は一連、二連と数えます。

京都の京念珠の製造風景

念珠の名産地「京都の京念珠」

念珠は京都が本場で、全国の約9割が京都で製造されています。「京念珠」は、伝統と品質を守るため特許庁に商標登録された「京都数珠製造卸協同組合」の地域ブランドで、「京念珠組合」のタグが付いています。

京念珠はすべて職人の手作りで、紐や房も手作業で編まれます。根気のいる工程を多くの職人が支え、一粒一粒に心を込めて作られています。丈夫で長持ちする念珠は、手作りへのこだわりと職人の技術の賜物です。

ちなみにルミエールで取り扱っている念珠は全て「京念珠」になります。

念珠の本式念珠と略式念珠の男女用の説明

念珠の略式念珠または本式念珠かを選ぶ

念珠は大きく分けて2種類の形式があります。全宗派共通で使える略式念珠(片手念珠)、宗派によって形の異なる本式念珠(正式念珠)があります。

私達が見慣れた念珠は「略式念珠」です。これは男性用女性用だけで分かれています。

本式念珠は「家の宗派+性別」によって分かれています。例えば「浄土真宗用の男性用の念珠」といった感じです。

若いうちは「略式数珠」、年齢を重ねるとともに「仏教の教え」の考え方も深まり、「本式念珠」をご購入される方も多くいらっしゃいます。また、ご自身のお家でのお葬式・法要・法事・お墓参りには「本式念珠」、知人のお葬式などには「略式数珠」と、使い分けられるお客様もいらっしゃいます。

葬儀の際の念珠のイメージ

略式念珠の色合いや選び方

略式念珠の色合いの選び方は、葬儀や法事などの弔事では特に重要です。

男性は黒檀、オニキス、紫水晶などの黒系・濃い色が一般的です。

女性は黒系に加え、紫水晶や藤色の石も好まれ、控えめながらも上品な印象を与えます。白系の水晶は、性別を問わず使える万能な選択肢です。

弔事では全体的に落ち着いた色合いを選ぶことで、厳粛な場にふさわしい装いとなります。

本式念珠の宗派ごとの形の説明

本式念珠の宗派ごとの種類

宗派によって珠数の数や房の形が異なります。また同じ宗派でも男性用・女性用でデザインが変わる宗派もあります。

宗派によっての種類と持ち方の違いはページ下部の「本式念珠について」をご覧ください。

念珠の「珠」の素材の比較画像

念珠の「珠」の素材について

念珠の素材には、天然木を使用した木材の珠、艶やかな天然石の珠、天然素材の真珠の珠などがあります。それぞれの特徴をご覧ください。

木材の珠

木製の珠は軽く、柔らかな艶と心地よい手触りが特徴です。使い込むほど艶がでて、手になじんでいきます。紫檀・黒檀・鉄刀木などの唐木三大銘木も無垢材から作られます。価格としては、比較的リーズナブルです。高価な香木(白檀・沈香など)を使った念珠もあります。

天然石の珠

種類が豊富で、好みのカラーや美しい艶、透明感を楽しめます。石の意味や言い伝えを参考に、パワーストーンとして選ぶのも良いでしょう。お手入れが簡単で、経年変化も少なく綺麗に使えます。パワーストーンの効果を重視する方は、浄化することで石のエネルギーをリセットできます。浄化方法は様々ですが、「水晶のチップ」に置いておくのもおすすめです。

真珠の珠

真珠は強い守護の力を持ち、魔除けや美しさの象徴として珍重されてきました。主成分は炭酸カルシウムで、酸、熱、水に弱い特徴があります。汗やほこりを放置すると光沢が失われるため、使用後は柔らかい布で拭くと美しさを保てます。

念珠の房の素材と房の形状の種類

念珠の「房」の素材について

念珠の房の素材は主に下記の2種類のみです。

正絹【別名:シルク】

正絹(別名:シルク)は、カイコの繭からとった動物性繊維で柔らかくて軽く、吸湿性通気性に富みます。肌と同じタンパク質で形成された絹素材は、化学繊維よりも肌にも優しい素材で美しい風合いをもっています。当店で取り扱っている念珠はすべて正絹(シルク)です。ちなみに京都で念珠作りが盛んになった歴史的背景として京都は絹織物の産地であったためと言われています。

人絹【別名:レーヨン】

人絹(別名:レーヨン)は絹に似せて作った再生繊維であり、昔は人絹(じんけん)と呼ばれていた名残りから念珠メーカーでは人絹と表記されます。見た目には、差は分かりません。しかし、手触りは当然ながら正絹(シルク)の方が良く、独特の光沢としなやかさがあります。正絹に比べて値段は安くなりますが、品質の観点から当店の念珠は人絹(レーヨン)を使用した念珠は取り扱っておりません。

念珠袋に念珠を入れている

念珠の持ち運び・お手入れ・保管

念珠の持ち運び時は「念珠入れ」に入れて持ち運びをして下さい。

珠のお手入れは、特に不要ですが、真珠の念珠だけは柔らかい布で拭くことで真珠の経年後の姿は大きく変わります。

房の部分は曲げたまま保管するとクセが付いてしまう為、保管の際は購入時の念珠の箱にいれて保管するか、念珠をかけておくことで房が綺麗に保管できます。

もし万が一、クセが付いてしまった場合はお湯を沸かし、湯気が出てきたらその蒸気にあて、優しく伸ばすように房を撫でていただくと綺麗に戻ります。ただし、この方法が有効なのは正絹房(シルク)で、安価な人絹房(レーヨン)は綺麗に戻りません。

本式念珠について

浄土宗の本式念珠の種類

浄土宗の本式念珠の種類

概要

浄土宗には、僧侶が用いる「荘厳珠数」、大勢で唱えるための「百万遍珠数」、数取りのできる「日課珠数」の3種類があります。一般的に「日課珠数」が広く使われており、僧俗問わず日常的に用いる定番の珠数です。そのため、檀家や信徒の方にはこの珠数を使用することをおすすめします。日課珠数は「1日に〇回の念仏を唱えます」と日課制約を立て、念仏に励むための珠数とされています。

浄土宗の本式念珠の各部位の説明

日課珠数の女性用は、主玉が40個と27個で構成された六万遍用、男性用は27個と20個の主玉で構成される三万遍用と呼ばれます。珠の数が異なるだけで形状は同じです。浄土宗独特の形状は2つの輪から成り、1つは主玉から、もう1つは主玉と副玉で構成されています。2つ目の輪からは銀輪につながった梵天の房が垂れています。


浄土真宗の本式念珠の種類

浄土真宗の本式念珠の種類

概要

浄土真宗では、念仏の数にこだわらないため、念珠の珠を擦る習慣はありません。そのため珠の数に決まりはなく、数を取らないようにするための「蓮如結び」という紐の結び方があります。

浄土真宗(男性用)の本式念珠の各部位の説明

男性用は略式念珠を使われることが多く、房は紐房が多く使われます。

浄土真宗(女性用)の本式念珠の各部位の説明

女性用は、108の主玉に四天玉が4つ入った輪に、「蓮如結び」と呼ばれる独特の結び方をした房が親玉からつながっています。


天台宗の本式念珠の種類

天台宗の本式念珠の種類

概要

天台宗の念珠は、人間の持つ煩悩の数と同じ108玉で構成されています。108個の玉が連なった念珠を持つことで、煩悩を取り除き、心身を清めるとされています。

天台宗の本式念珠の各部位の説明

天台宗の本式念珠は、そろばん玉のような平たい108個の主玉を基本とし、1個の親玉と4個の四天玉で構成されています。親玉の下には、弟子玉(10個の丸玉と20個の平玉)が配置され、そのさらに下には「露(つゆ)」と呼ばれる玉が付いています。房には、丸い梵天が使用されています。


真言宗の本式念珠の種類

真言宗の本式念珠の種類

概要

真言宗では、珠数を重要視しており、例えば百八の数は金剛界の百八尊を象徴します。親玉は大日如来の智慧を表し、それを取り囲む四天玉は宇宙を表現した曼荼羅の四方四仏(弥陀・宝生・阿閦・釈迦)、あるいは普賢・観音・文殊・弥勒の四菩薩を象徴すると解釈されます。

真言宗の本式念珠の各部位の説明

基本構造は108個の主玉に、2個の親珠、4個の四天(天珠)を加えて構成されています。 親玉の両側には10個ずつの弟子珠(記子)が加えられ、弟子珠の先には露珠が付けられています。片側の弟子珠(記子)と親珠の間にある小さな珠は浄名珠と呼ばれています。 浄名珠がある方の親珠を母珠(表親)、反対側の親珠を稽留(裏親)とも呼びます。これらに菊房や華梵天、小田巻などの梵天が使用されることがあります。中を通す糸には赤色を使用する場合もあり、赤の糸には厄除けの意味も込められています。


臨済宗の本式念珠の種類

臨済宗の本式念珠の種類

概要

臨済宗には「出入りの息をもって、念珠となす」の姿勢があり、座禅を重んじるためか、珠数の作法に特別な規定はありません。

臨済宗(男性用・女性用)の本式念珠の各部位の説明

本式念珠は108個の主珠を基本とし、1個の親珠(母珠)、1個の向珠、4個の四天で構成されています。親珠(母珠)、向珠、四天の間には18個ずつ主珠が配置されるのが特徴です。曹洞宗用の念珠と類似していますが、曹洞宗では銀輪が入るのに対し、臨済宗では銀輪が入りません。また、四天玉の配置方法も曹洞宗とは異なります。


曹洞宗の本式念珠の種類

曹洞宗の本式念珠の種類

概要

曹洞宗には「出入りの息をもって、念珠となす」の姿勢があり、座禅を重んじるためか、珠数の作法には特定の規定がありません。曹洞宗の珠数には輪(環)がついています。その意味あいについては、「和」を表すとも、仏陀の象徴である法輪とも、珠数を保管する際に掛けておくためとも言われていますが、明確な定義はありません。昔からの習慣とも考えられ、大宇宙を表す象徴と解釈することもできます。

曹洞宗の本式念珠の各部位の説明

基本構成は108個の主珠、1個の親珠(母珠)、1個の向珠、4個の四天からなります。親珠(母珠)、向珠、四天の間にはそれぞれ18個ずつ主珠が配置されているのが特徴です。また、金属製の輪が入っている点も曹洞宗用珠数の特徴です。房は紐房、ヨリ房のどちらも使用されます。


日蓮宗の本式念珠の種類

日蓮宗の本式念珠の種類

概要

日蓮宗では祈祷の際、木剣と数珠を組み合わせたものを打ち鳴らすため、黒檀や紫檀といった硬くて丈夫な木材がよく選ばれます。108個の主珠の間にある四天珠は、末世に法華経を伝える4人の菩薩を象徴し、四菩薩と呼ばれています。

日蓮宗の本式念珠の各部位の説明

基本構成は108個の主珠に、2個の親珠、4個の四天珠を加えたものです。 浄名のある親珠には20個の弟子珠(記子)が付き、もう一つの親珠には3本の房があります。 そのうち2本には5個ずつの弟子珠が、もう1本には数取り用の10個の数取珠が付いています。 房には菊房や華梵天、小田巻などの梵天が使用されます。 日蓮正宗の場合は、同じ形状ですが、房の色は白色に限られています。


浄土宗の本式念珠の持ち方

浄土宗の本式念珠の持ち方

合掌するとき

珠数を両親指にかけ、房は手前(ご自身側)に垂らします。両方の輪の親玉を親指で押さえるようにします。

念仏をとなえるとき

房の付いていない輪を親指と人差し指の間にかけ、房付きの輪を人差しと中指の間にかけます。そのまま握り、念仏をとなえます。念仏のたびに親指で手前に操ります。


浄土真宗の本式念珠の持ち方

浄土真宗の本式念珠の持ち方

合掌するとき(男性用)

男性はそのまま両手にかけて合掌します。

合掌するとき(浄土真宗西本願寺派 女性用)

二輪にして両手にかけ、房を下に垂らします。

合掌するとき(浄土真宗大谷派 女性用)

二輪にして両手にかけ、房を左側に垂らします。そして親玉をそろえて親指ではさむようにします。


天台宗の本式念珠の持ち方

天台宗の本式念珠の持ち方

本式念珠の持ち方

手に持つときは左手で二輪にし、そのまま握って持ちます。房は手の甲側に垂らします。

合掌するとき

人差し指と中指の間にかけます。そのまま手を合わせます。房は下に垂らします。


真言宗の本式念珠の持ち方

真言宗の本式念珠の持ち方

本式念珠の持ち方

親玉を上にし、二輪にして手にかけ房ごと握るようにします。

合掌するとき

珠数を両手の中指にかけ、そのまま手を合わせて合掌します。真言宗は念珠を擦り鳴らして音をたてます。珠数を擦ることは百八煩悩をすり砕き、百八菩提の正常な光明を磨きだすことだと、「金剛頂瑜伽念珠軽」に説かれています。


臨済宗の本式念珠の持ち方

臨済宗の本式念珠の持ち方

本式念珠の持ち方

持つときは二輪にして手にかけ握ります。房は下に垂らします。

合掌するとき

二輪にして左手の親指と人差し指の間にかけて合掌します。房は下に垂らします。


曹洞宗の本式念珠の持ち方

曹洞宗の本式念珠の持ち方

本式念珠の持ち方

持つときは二輪にして手にかけ握ります。房は下に垂らします。

合掌するとき

二輪にして左手の親指と人差し指の間にかけて合掌します。房は下に垂らします。


日蓮宗の本式念珠の持ち方

日蓮宗の本式念珠の持ち方

持つとき&合掌するとき

持つときは二輪にして左手にかけ房は下に垂らします。

お題目を唱えるとき

唱題や回向のときは房が三つ付いている方を左手の中指にかけ、ひとひねりしてから他方を右手の中指にかけます。房を外に垂らし、そのまま手を合わせます。

  • 唱題とは…法華経の題目を唱えること。
  • 回向とは…読経・布施などをおこなって死者の冥福を祈ること。