
お仏壇におけるご本尊(仏像や掛け軸)の必要性・意味
まず初めにお仏壇の元々の意味は広い意味で「寺院の自宅版」です。寺院の本堂には必ずご本尊様があるように、お仏壇にもご本尊様があることにより「故人が仏の世界でもお守りされる」、また「生きている私達も守ってもらえる」と言われています。 お仏壇は仏様の住処であって、実はお仏壇自体には魂は入っていません。(地域・寺院によっては異なる場合も一部あり) ですがお仏壇の中央上部に祀られる「ご本尊」には魂入れをしてから祀り、各家が脈々と信仰し、受け継いできた教え・信仰の対象となります。ご本尊とお位牌の関係性から言うと、お仏壇上部に鎮座した「ご本尊様にお位牌を見守って頂く」といった意味合いがあります。
ご本尊は仏像・掛け軸どっちでもいいの!?

宗派によって種類が異なるご本尊
仏教はもともとインドで始まり、もとは宗派などありませんでしたが、インドから中国や日本に伝わり「高僧」により仏教に対する考え方などに違いが生じた為、色々な宗派が生まれて、それぞれお祀りするご本尊に違いがあります。 宗派については菩提寺がある場合はその菩提寺の宗派に合わせてご本尊をお祀りします。宗派によって掛け軸しかない宗派などもありますので下記の表でご紹介致します。(本来はこんなに多くの宗派を記載することはないのですがニッチな宗派も記載します。)宗派 | 本尊名 | 本尊を飾る際の特徴 |
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浄土宗 | 阿弥陀如来(舟立弥陀) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません |
真宗本願寺派(西) | 阿弥陀如来(西立弥陀) |
仏像でも掛け軸でも問題ありません。 寺院によっては掛け軸を推奨する場合あり。 |
真宗大谷派(東) | 阿弥陀如来(東立弥陀) |
仏像でも掛け軸でも問題ありません。 寺院によっては掛け軸を推奨する場合あり。 |
真宗高田派 | 阿弥陀如来(東立弥陀) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。 |
真宗佛光寺派 | 阿弥陀如来(後光7本) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。 |
真宗興正派 | 阿弥陀如来(西立弥陀) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。 |
真宗木辺派 | 阿弥陀如来(後光7本) | 絵像の後光は上部が7本です。後光とは阿弥陀如来の上部の光の本数です。 |
真宗出雲路派 | 阿弥陀如来(西立弥陀) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。 |
真宗誠照寺派 | 西立弥陀 or 東立弥陀 | 阿弥陀如来は西立弥陀でも東立弥陀でもどちらでも構わない宗派です。 |
真宗三門徒派 | 阿弥陀如来(東立弥陀) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。 |
真宗山元派 | 阿弥陀如来(西立弥陀) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。 |
時宗 | 阿弥陀如来(舟立弥陀) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。 |
融通念仏宗 | 十一尊天得如来 | 掛軸タイプの本尊の場合は「十一尊天得如来」を飾り、 仏像の場合は浄土宗と同じ「阿弥陀如来(舟立弥陀)」を飾ります。 |
天台宗 | 阿弥陀如来(座弥陀) | 実は天台宗では、特定のご本尊が定まっていません。 一般的には「座っている阿弥陀如来」を飾ることが多いです。ただし仏像がやや推奨される傾向あり。 |
真言宗 | 大日如来 | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。ただし仏像がやや推奨される傾向あり。 |
日蓮宗 | 曼荼羅 | 曼荼羅の掛け軸を飾ります。丁寧な方は曼荼羅の前に日蓮上人の仏像を飾ります。 逆に日蓮上人だけ飾ることはありません。 |
臨済宗 | 釈迦如来(座釈迦) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。 |
曹洞宗 | 釈迦如来(座釈迦) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。 |
黄檗宗 | 釈迦如来(座釈迦) | 仏像でも掛け軸でも問題ありません。 |
ご本尊購入したら必ず開眼供養(入魂)を行う
ご本尊を新しく購入したら必ず魂を入れてもらう開眼供養(かいげんくよう)、をしてもらいます。(浄土真宗西では開眼供養とはいわず入仏式(にゅうふつしき)・浄土真宗東では御移徙(ごいし)といいます) これは49日法要の際に同時にお願いすることが一般的です。 この儀式をすることで、単に形のあるものだけであった、ご本尊は尊像に変わります。 このような、供養のことを、開眼式や開眼供養(入魂式、魂入れ、お性根入れともいう)といいます。 文字の通り、「仏様の目を開く」儀式です。詳しくは下記の記事をご覧ください。ご本尊を設けない場合の注意点
最近では、あまりお仏壇らしいのが好みではないということから、本尊を設けないでご使用されたいという方もいます。特にミニ仏壇・現代風仏壇では下記のようにスペースの関係上からご本尊を飾らない方もいます。