浄土宗のご本尊・脇侍の種類・選び方

このページでは「浄土宗」における本尊・脇侍はどのような仏を飾るのかと、浄土宗の本尊・脇侍の飾り方の知識を深めて頂くためのページです。普段、宗派に関心のない方も、「こんな宗派だったんだ」と知るきっかけになれば嬉しいです。また自身の宗派が分からないという方は「家の宗派を確認する方法」をご覧いただき、自身の宗派を特定してからご覧ください。

浄土宗の総本山「知恩院」

そもそも浄土宗ってどんな宗派?

浄土宗は法然上人を宗祖とする宗派で、鎌倉仏教の1つです。当時の仏教は公家や武士だけのものでしたが、法然上人はその根本を変え、一般民衆も救われるようにとすべての人が「南無阿弥陀仏」を唱えることを一般民衆にも根付かせた現在の仏教にとっても重要な宗派です。公家や武士だけでなく、経典を学び、寺院へ寄進や参詣する余裕のなかった多くの一般民衆にも希望を与え、日本全土に浸透しました。総本山は京都の知恩院(華頂山知恩教院大谷寺)となります。

浄土宗のご本尊・脇侍

お仏壇左側円光大師(法然上人) お仏壇中央阿弥陀如来(舟立弥陀) お仏壇右側善導大師
浄土宗のお仏壇の脇侍の円光大師(法然上人) 浄土宗のお仏壇の本尊の舟立阿弥陀如来 浄土宗のお仏壇の脇侍の善導大師
平安時代末期から鎌倉時代初期の浄土宗の開祖です。1133年、美作国(岡山県)に生まれました。9歳の時に父を殺された法然は、その遺言によって出家し、比叡山に登り、43歳で「浄土宗」を開きました。その後、80歳で生涯を閉じられました。 舟型の光背の前に立った姿の阿弥陀如来像です。お仏壇業界では舟弥陀・舟立弥陀と呼ばれます。阿弥陀如来は直ちに人を救おうとする姿勢のため少し前に傾いています。「南無阿弥陀仏」と唱えたあらゆる人々を必ず極楽浄土へ導くとされています。 善導大師は、法然上人や親鸞聖人などに大きな影響を与えた中国浄土教の僧侶です。善導大師の絵像には口から雲にのった阿弥陀仏を吐き出しているようなお姿ですが、法然上人が毎日念仏を称えていたところ、腰から下が金色に輝いた善導大師が現れて説法をしたという言い伝えを表現しています。

ご本尊・脇侍の「お仏壇への飾り方」

ご本尊のみで飾る場合

掛け軸のみで飾る 仏像のみで飾る 仏像+ミニ常花で飾る
浄土宗の本尊を掛け軸のみで飾るイメージ 浄土宗の本尊を仏像のみで飾るイメージ 浄土宗の本尊を仏像+ミニ常花で飾るイメージ
ご本尊を掛け軸のみで飾る方法です。仏像に比べて少し略式となりますが、おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 ご本尊を仏像で飾った例です。仏像で飾ることで存在感があり、お仏壇の存在感が出てきます。 ご本尊を仏像で飾り、その脇に仏教で重要とされる蓮の花の「ミニ常花」を飾ることで、ご本尊を引き立てるおすすめの飾り方です。

ご本尊+脇侍をしっかり飾る場合

掛け軸(3尊)で飾る 仏像+掛け軸(両脇)で飾る 仏像(3尊)で飾る
浄土宗の本尊を掛け軸(3尊)で飾るイメージ 浄土宗の本尊を仏像+掛け軸(両脇)で飾るイメージ 浄土宗の本尊を仏像(3尊)で飾るイメージ
掛け軸(3尊)で飾る方法です。3尊飾ることで浄土宗の教えに、より沿うお飾りとなります。おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 ご本尊を仏像で飾り、両脇を掛け軸で飾る方法です。仏像で飾ることで存在感があり、また浄土宗の教えに、より沿うお飾りでとても丁寧な飾り方です。 ご本尊・両脇侍ともすべて仏像で飾る方法です。浄土宗の場合は阿弥陀三尊といって、両脇仏に観音菩薩と勢至菩薩を飾る事もあります。(寺院などは阿弥陀三尊が多い)予算が必要ですが、最も丁寧な飾り方といえるでしょう。

浄土宗の知識とお参りの作法

総本山

知恩院(華頂山知恩教院大谷寺)

主な経典

浄土三部経(仏説無量寿経、仏説阿弥陀経、仏説観無量寿経)

線香の本数

1本~3本を折らずに香炉の真ん中にお供えします

お唱えする言葉

南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)。浄土宗では「南無阿弥陀仏」を声に出して唱えます。

南無阿弥陀仏とは

南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ) の意味は、阿弥陀如来に対する 「帰依します」「お任せします」 という信仰と感謝の表現です。
  • 南無(なむ):サンスクリット語の「ナモー」から来ており、「帰依する」「頼る」「お願いする」という意味。
  • 阿弥陀仏(あみだぶつ):無限の光と命を象徴する仏様。すべての人を救う存在。
つまり、「阿弥陀仏様におすがりします。どうかお導きください」という気持ちを込めて唱える言葉です。浄土宗ではこの念仏を唱えることで、阿弥陀仏の救いを信じ、極楽浄土への往生を願います。

浄土宗の主な年間行事

1. 春彼岸会(ひがんえ)

  • 時期:3月18日〜3月24日(春分の日を中日とする7日間)
  • 内容:先祖供養を行い、家族が集まる大切な期間。
  • 理由:浄土宗では「六波羅蜜(ろくはらみつ)」を実践し、先祖への感謝と修行の場として重視されます。

2. 秋彼岸会(ひがんえ)

  • 時期:9月20日〜9月26日(秋分の日を中日とする7日間)
  • 内容:春彼岸と同様に、先祖供養を行います。
  • 理由:春秋の彼岸は阿弥陀仏の教えに基づく功徳を積む重要な期間です。

3. 盂蘭盆会(うらぼんえ / お盆)

  • 時期:7月13日〜7月15日(地域によっては8月13日〜15日)
  • 内容:先祖の霊を供養する行事で、家族が集まり墓参りをします。
  • 理由:阿弥陀仏の慈悲に感謝し、先祖供養を行う浄土宗最大の行事の一つです。

4. 御忌(ぎょき)法要

  • 時期:1月25日(またはその前後)
  • 内容:浄土宗の開祖・法然上人の命日を記念する法要。
  • 理由:法然上人への感謝と教えの継承を誓う、浄土宗独自の重要な法要です。

5. 十夜法要(じゅうやほうよう)

  • 時期:11月(寺院によって異なるが、11月初旬〜中旬が多い)
  • 内容:10日間、阿弥陀仏への念仏を唱える行事。
  • 理由:「十日十夜の功徳は千年の功徳に勝る」とされ、熱心な念仏修行の期間です。

6. 修正会(しゅしょうえ)

  • 時期:1月1日〜1月7日頃
  • 内容:新年の無事と平安を祈る法要。
  • 理由:新年のはじめに阿弥陀仏への感謝と加護を祈る、浄土宗ならではの伝統行事です。