日蓮宗のご本尊・脇侍の種類・選び方
このページでは「日蓮宗」における本尊・脇侍はどのような仏を飾るのかと、日蓮宗の本尊・脇侍の飾り方の知識を深めて頂くためのページです。普段、宗派に関心のない方も、「こんな宗派だったんだ」と知るきっかけになれば嬉しいです。また自身の宗派が分からないという方は「家の宗派を確認する方法」をご覧いただき、自身の宗派を特定してからご覧ください。

そもそも日蓮宗ってどんな宗派?
日蓮宗は、鎌倉時代に日蓮聖人(にちれんしょうにん)によって開かれた宗派です。仏教の開祖であるお釈迦様が説かれた多くの経典の中で、日蓮聖人は「妙法蓮華経(法華経)」を最も重要な教えとして位置付けました。この宗派では、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」という題目を唱えることで、仏教の教えを実践し、現世の幸せを願うとされています。
日蓮宗のご本尊・脇侍
お仏壇左側大黒天 | お仏壇中央曼荼羅(まんだら) | お仏壇右側鬼子母神 |
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大黒天は、日蓮宗では法華経の守護神として祀られています。また、七福神の一柱としても広く親しまれています。「大黒柱」という言葉は、大黒天が天・地・人を守る存在であることから、家を支える中心の柱をそう呼ぶようになったと言われます。さらに、大黒天が俵に乗っているのは、「毎日ご飯を供えてお参りすれば、一生、食物に困らない」という意味を表しています。 | 日蓮宗で使われる曼荼羅は、日蓮聖人が仏様の悟りの世界を文字で表したものです。中央に「南無妙法蓮華経」の題目が描かれ、その左右や四隅に仏菩薩、諸神が配置されています。この曼荼羅は「大曼荼羅御本尊」として敬われ、中央の題目から長く線を引く特徴があることから「髭曼荼羅」とも呼ばれます。 | 鬼子母神は、日蓮宗で法華経の守護神として祀られています。もとは子供を奪い食べる鬼女でしたが、釈迦の教えを聞いて改心し、子育てや安産、子供を守る善神となりました。一般的に天女の姿で描かれ、胸に子を抱き、ザクロを持っています。ザクロは種が多いことから、安産や子孫繁栄の象徴とされています。 |
ご本尊・脇侍の「お仏壇への飾り方」
ご本尊のみで飾る場合
掛け軸のみで飾る | 仏像のみで飾る | 仏像+ミニ常花で飾る |
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ご本尊を掛け軸のみで飾る方法です。仏像に比べて少し略式となりますが、おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 | ご本尊を掛け軸+仏像で飾った例です。日蓮宗は日蓮上人の仏像のみで飾ることはない宗派なので曼荼羅の掛け軸は必ず飾る形となります。奥行をとる飾り方のため掛け軸と仏像の両方の奥行がお仏壇1段目に入ることをご確認ください。 | 中央に「南無妙法蓮華経」と書かれた題目宝塔、左に釈迦如来、右に多宝如来が祀られている「三宝尊」と手前に「日蓮上人の仏像」を飾った本格的な飾り方です。奥行をかなり使う飾り方のため、大型仏壇以外は難しい飾り方です。 |
ご本尊+脇侍をしっかり飾る場合
掛け軸(3尊)で飾る | 仏像+掛け軸(両脇)で飾る | 仏像(3尊)で飾る |
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掛け軸(3尊)で飾る方法です。3尊飾ることで日蓮宗の教えに、より沿うお飾りとなります。おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 | 掛け軸を3尊飾り、その手前に日蓮上人の仏像で飾る方法です。また日蓮宗の教えに、より沿うお飾りでとても丁寧な飾り方です。奥行をとる飾り方のため掛け軸と仏像の両方の奥行がお仏壇1段目に入ることをご確認ください。 | 中央に「南無妙法蓮華経」と書かれた題目宝塔、左に釈迦如来、右に多宝如来が祀られている「三宝尊」と手前に「日蓮上人の仏像」、さらに両脇に大黒天、鬼子母神を飾った本格的な飾り方です。奥行、幅をかなり使う飾り方のため、大型仏壇以外は難しい飾り方です。 |
日蓮宗の知識とお参りの作法
総本山
身延山久遠寺(山梨県南巨摩郡)。鎌倉時代に日蓮聖人が開いた日蓮宗の中心寺院です。
主な経典
「法華経(ほけきょう)」。お釈迦様の教えの中で最も重要とされる日蓮宗の根本経典です。
線香の本数
線香は1本を香炉に立てて供えます。
お唱えする言葉
日蓮宗では、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」を唱えることで、法華経への信仰と感謝を表します。
南無妙法蓮華経とは
南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)は、法華経に帰依することを表す言葉です。
- 南無(なむ):サンスクリット語「ナモー」に由来し、「帰依する」「頼る」という意味。
- 妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう):仏教の真理とお釈迦様の悟りの教えを象徴する法華経の正式名称。
日蓮宗の主な年間行事
1. 修正会(しゅしょうえ)
- 時期:1月1日~1月3日
- 内容:新年を迎え、法華経への感謝と日蓮聖人への祈りを込めて行う法要です。
- 理由:新たな一年を仏教の教えに立ち返る行事です。
2. 御会式(おえしき)
- 時期:10月12日を中心に開催
- 内容:日蓮聖人のご命日を記念し、その教えを偲ぶ最大の法要です。
- 理由:日蓮聖人の教えを深く学び直す重要な行事です。
3. 盂蘭盆会(うらぼんえ / お盆)
- 時期:7月13日~15日(または8月)
- 内容:亡き人を供養し、先祖や故人の供養を行います。
- 理由:仏教の慈悲を実践し、感謝の心を育む機会です。
4. 成道会(じょうどうえ)
- 時期:12月8日
- 内容:お釈迦様が悟りを開いた日を記念する法要です。
- 理由:仏教の真理を再確認する大切な行事です。
5. 開山忌(かいさんき)
- 時期:寺院によって異なる
- 内容:寺院の開祖を偲び、その功績を称える法要です。
- 理由:寺院の歴史や教えに感謝する機会です。
※補足:お彼岸について
日蓮宗では、他の仏教宗派に比べると彼岸(春彼岸・秋彼岸)を特に重視していないと言われています。