黄檗宗のご本尊・脇侍の種類・選び方

このページでは「黄檗宗」における本尊・脇侍はどのような仏を飾るのかと、黄檗宗の本尊・脇侍の飾り方の知識を深めて頂くためのページです。また自身の宗派が分からないという方は「家の宗派を確認する方法」をご覧いただき、自身の宗派を特定してからご覧ください。

黄檗宗の総本山「萬福寺」

そもそも黄檗宗ってどんな宗派?

黄檗宗は、「臨済宗」「曹洞宗」と並ぶ日本三禅宗の1つで、江戸時代初期に中国の隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師が伝えました。座禅を中心に修行しますが、独自の儀式や中国の文化が特徴です。たとえば、隠元豆やレンコンやタケノコ、中国風の建築、お寺の鐘楼(しょうろう)などが日本に伝わり、仏教だけでなく文化にも大きな影響を与えました。

黄檗宗のご本尊・脇侍

お仏壇左側陰元禅師 お仏壇中央釈迦如来(座釈迦) お仏壇右側達磨大師
黄檗宗のお仏壇の脇侍の陰元禅師 黄檗宗のお仏壇の本尊の釈迦如来(座釈迦) 黄檗宗のお仏壇の脇侍の達磨大師
黄檗宗を開かれた中国人僧侶です。あの隠元豆は隠元禅師(いんげんぜんじ)が日本に普及させたものです。仏教のみならず、レンコン・タケノコ・文化・芸術・建築・医療など、その他のことも幅広く日本に普及させた人物です。 仏教の開祖として親しまれる「お釈迦さま」は、正式には「釈迦如来」と呼ばれます。古代インドの小国、釈迦族の王子で妻や子供もいた実在の人物です。一切の地位や財産を捨て、質素な一枚の衣を身にまとったその姿は、仏教の清貧な生活を象徴しています。 達磨大師(だるまだいし)は、インド人ですが、100歳を越えて中国へ渡り、禅宗を中国に伝えた祖師です。ちなみに縁起物の赤く丸いダルマさんのモデルは達磨大師です。座禅で足が腐ってしまったという伝説からあの丸い形が生まれました。

ご本尊・脇侍の「お仏壇への飾り方」

ご本尊のみで飾る場合

掛け軸のみで飾る 仏像のみで飾る 仏像+ミニ常花で飾る
黄檗宗の本尊を掛け軸のみで飾るイメージ 黄檗宗の本尊を仏像のみで飾るイメージ 黄檗宗の本尊を仏像+ミニ常花で飾るイメージ
ご本尊を掛け軸のみで飾る方法です。仏像に比べて少し略式となりますが、おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 ご本尊を仏像で飾った例です。仏像で飾ることで存在感があり、お仏壇の存在感が出てきます。 ご本尊を仏像で飾り、その脇に仏教で重要とされる蓮の花の「ミニ常花」を飾ることで、ご本尊を引き立てるおすすめの飾り方です。

ご本尊+脇侍をしっかり飾る場合

掛け軸(3尊)で飾る 仏像+掛け軸(両脇)で飾る 仏像(3尊)で飾る
黄檗宗の本尊を掛け軸(3尊)で飾るイメージ 黄檗宗の本尊を仏像+掛け軸(両脇)で飾るイメージ 黄檗宗の本尊を仏像(3尊)で飾るイメージ
掛け軸(3尊)で飾る方法です。3尊飾ることで黄檗宗の教えに、より沿うお飾りとなります。おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 ご本尊を仏像で飾り、両脇を掛け軸で飾る方法です。仏像で飾ることで存在感があり、また黄檗宗の教えに、より沿うお飾りでとても丁寧な飾り方です。 ご本尊・両脇侍ともすべて仏像で飾る方法ですが陰元禅師と達磨大師の仏像は仏壇業界は販売していないため飾ることができません。

黄檗宗の知識とお参りの作法

総本山

萬福寺(京都府宇治市)。江戸時代初期に隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師によって開かれた黄檗宗の中心寺院です。

主な経典

「大蔵経(だいぞうきょう)」。中国伝来の経典を基に、黄檗宗で重視される経典群です。

線香の本数

線香は1本を香炉に立てて供えます。

お唱えする言葉

黄檗宗では座禅を中心とした修行を重視しますが、法要などでは「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」を唱えることがあります。

南無釈迦牟尼仏とは

南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)は、お釈迦様への帰依を表す言葉です。
  • 南無(なむ):サンスクリット語「ナモー」に由来し、「帰依する」「頼る」という意味。
  • 釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ):お釈迦様の正式な尊称で、「釈迦族の聖者」という意味を持ちます。
この言葉を唱えることで、お釈迦様への感謝と仏教の教えを実践する意志を表します。

黄檗宗の主な年間行事

1. 修正会(しゅしょうえ)

  • 時期:1月1日~1月3日
  • 内容:新年を迎え、お釈迦様と歴代の祖師への感謝を込めて祈る法要です。
  • 理由:新たな一年を仏法に立ち返る伝統的な行事です。

2. 隠元忌(いんげんき)

  • 時期:6月3日
  • 内容:隠元禅師の命日を記念し、その教えを偲ぶ法要です。
  • 理由:黄檗宗を日本に広めた隠元禅師への感謝を表す行事です。

3. 施餓鬼会(せがきえ)

  • 時期:お盆(7月または8月)
  • 内容:亡き人や餓鬼道に苦しむ霊を供養する法要です。
  • 理由:慈悲の心を実践する仏教行事として重要です。

4. 成道会(じょうどうえ)

  • 時期:12月8日
  • 内容:お釈迦様が悟りを開いた日を記念する法要です。
  • 理由:お釈迦様の教えを学び直し、仏法の意義を再確認する行事です。

5. 開山忌(かいさんき)

  • 時期:寺院によって異なる
  • 内容:寺院を開いた祖師を偲び、感謝を込める法要です。
  • 理由:寺院の歴史や仏教の伝統を大切にする行事です。