天台宗のご本尊・脇侍の種類・選び方

このページでは「天台宗」における本尊・脇侍はどのような仏を飾るのかと、天台宗の本尊・脇侍の飾り方の知識を深めて頂くためのページです。普段、宗派に関心のない方も、「こんな宗派だったんだ」と知るきっかけになれば嬉しいです。また自身の宗派が分からないという方は「家の宗派を確認する方法」をご覧いただき、自身の宗派を特定してからご覧ください。

天台宗の総本山 比叡山延暦寺

そもそも天台宗ってどんな宗派?

天台宗は、社会科の教科書にも登場するほど有名な「最澄」が作った宗派です。平安時代に伝教大師(最澄)が中国の唐で法華経にもとづく天台学を修得し、さらに密教や禅など幅広く教えを受けて、京都の比叡山にある延暦寺で開いた宗派です。天台宗の歴史は深く、日本仏教の礎として、浄土宗の法然、浄土真宗の親鸞、臨済宗の栄西、曹洞宗の道元、日蓮宗の日蓮などの名僧を輩出していく元となる宗派です。

天台宗のご本尊・脇侍

お仏壇左側伝教大師(最澄) お仏壇中央阿弥陀如来(座弥陀) お仏壇右側天台大師
天台宗のお仏壇の脇侍の伝教大師(最澄) 天台宗のお仏壇の本尊の阿弥陀如来(座弥陀) 天台宗のお仏壇の脇侍の天台大師
平安時代の天台宗の開祖であり、社会の教科書にも登場するほどの日本の仏教に大きな功績を残した名僧です。天台大師の教えを学ぶため遣唐使船で唐に渡り、天台の教義とともに禅や密教の教えを受け、帰国後、比叡山延暦寺を建てて日本天台宗を開きます。 実は天台宗では、特定のご本尊が定まっていません。一般的には「座っている阿弥陀如来」を飾ることが多いです。お仏壇業界では座弥陀(ざみだ)と言われています。天台宗では空間を超越した阿弥陀如来が、救いの声に応じて様々な仏様の姿になって現れるとするため、釈迦如来、薬師如来、観音菩薩etc、どのご本尊を飾る場合もあります。また釈迦如来と非常に似ていますが手の印が異なります。 天台宗の高祖です。中国の天台山で修行され、天台山で亡くなられたので、天台大師と言われていますが、本名は智顗(ちぎ)と言います。中国のお釈迦様ともいわれ、中国天台宗の開祖で、最澄はこの智顗の教えを日本に広めます。

ご本尊・脇侍の「お仏壇への飾り方」

ご本尊のみで飾る場合

掛け軸のみで飾る 仏像のみで飾る 仏像+ミニ常花で飾る
天台宗の本尊を掛け軸のみで飾るイメージ 天台宗の本尊を仏像のみで飾るイメージ 天台宗の本尊を仏像+ミニ常花で飾るイメージ
ご本尊を掛け軸のみで飾る方法です。仏像に比べて少し略式となりますが、おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 ご本尊を仏像で飾った例です。仏像で飾ることで存在感があり、お仏壇の存在感が出てきます。 ご本尊を仏像で飾り、その脇に仏教で重要とされる蓮の花の「ミニ常花」を飾ることで、ご本尊を引き立てるおすすめの飾り方です。

ご本尊+脇侍をしっかり飾る場合

掛け軸(3尊)で飾る 仏像+掛け軸(両脇)で飾る 仏像(3尊)で飾る
天台宗の本尊を掛け軸(3尊)で飾るイメージ 天台宗の本尊を仏像+掛け軸(両脇)で飾るイメージ 天台宗の本尊を仏像(3尊)で飾るイメージ
掛け軸(3尊)で飾る方法です。3尊飾ることで天台宗の教えに、より沿うお飾りとなります。おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 ご本尊を仏像で飾り、両脇を掛け軸で飾る方法です。仏像で飾ることで存在感があり、また天台宗の教えに、より沿うお飾りでとても丁寧な飾り方です。 ご本尊・両脇侍ともすべて仏像で飾る方法です。予算が必要ですが、最も丁寧な飾り方といえるでしょう。

天台宗の知識とお参りの作法

総本山

延暦寺(滋賀県大津市)。伝教大師(最澄)が平安時代に比叡山に開いた、天台宗の中心寺院です。

主な経典

法華経(妙法蓮華経)。「一切衆生悉有仏性(すべての人に仏性がある)」の教えを説いた天台宗の根本経典です。

線香の本数

線香は正式には3本ずつ供えます。また立て方にも決まりがあり香炉のなかで逆三角形に置くのがポイントです。折らずに1本を手前、残りの2本を仏壇側に供えます。

お唱えする言葉

南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)。天台宗ではこの言葉を唱え、法華経への帰依を示します。

南無妙法蓮華経とは

南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)は、法華経に対する信仰と感謝を表す言葉です。
  • 南無(なむ):サンスクリット語「ナモー」に由来し、「帰依する」「お任せする」という意味。
  • 妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう):法華経の正式名称で、宇宙の真理と仏教の最高の教えを象徴します。
この言葉を唱えることで、法華経の教えを深く信じ、仏法の真理に触れることができます。

天台宗の主な年間行事

1. 修正会(しゅしょうえ)

  • 時期:1月1日~1月3日
  • 内容:新年を迎え、法華経への感謝と誓いを新たにする法要です。
  • 理由:仏教の教えに立ち返り、新年を清らかな心で迎える伝統的な行事です。

2. 春彼岸会(ひがんえ)

  • 時期:3月18日~3月24日(春分の日を中日とする7日間)
  • 内容:祖先を偲びつつ、法華経を読み仏法を学ぶ機会です。
  • 理由:先祖供養を通じて、仏教の真理を再確認する大切な期間です。

3. 盂蘭盆会(うらぼんえ / お盆)

  • 時期:7月13日~7月15日(地域によっては8月13日~15日)
  • 内容:亡き人を偲び、供養の心で法華経を唱える行事です。
  • 理由:「孝」の精神を大切にし、法華経の教えを深く学ぶ機会とします。

4. 千日回峰行結願法要(せんにちかいほうぎょうけちがんほうよう)

  • 時期:10月初旬
  • 内容:比叡山で千日間にわたる厳しい修行を終えた行者を祝福する法要です。
  • 理由:天台宗の修行精神を象徴する重要な儀式です。

5. 成道会(じょうどうえ)

  • 時期:12月8日
  • 内容:お釈迦様が悟りを開いた日を記念する法要です。
  • 理由:仏陀の教えを再確認し、仏法に感謝する行事です。