融通念仏宗のご本尊・脇侍の種類・選び方

このページでは「融通念仏宗」における本尊・脇侍はどのような仏を飾るのかと、融通念仏宗の本尊・脇侍の飾り方の知識を深めて頂くためのページです。普段、宗派に関心のない方も、「こんな宗派だったんだ」と知るきっかけになれば嬉しいです。また自身の宗派が分からないという方は「家の宗派を確認する方法」をご覧いただき、自身の宗派を特定してからご覧ください。

融通念仏宗の総本山「大念仏寺」

そもそも融通念仏宗ってどんな宗派?

融通念仏宗は、平安末期に良忍上人(りょうにんしょうにん)によって関西で創始された宗派です。関西で誕生したため、この地域では知られていますが、関東以北では馴染みが薄い宗派です。良忍上人は四天王寺で修行中に「融通念仏」の教えを説き、鳥羽上皇の勅願で大阪市平野区に根本道場を創建しました。この寺院が現在の総本山「大念仏寺」となり、融通念仏宗の中心地となっています。

融通念仏宗のご本尊・脇侍

お仏壇左側法明上人 お仏壇中央十一尊天得如来 お仏壇右側良忍上人
融通念仏宗のお仏壇の脇侍の法明上人 融通念仏宗のお仏壇の本尊の十一尊天得如来 融通念仏宗のお仏壇の脇侍の良忍上人
良忍上人(平安時代後期)の死後は融通念仏宗が衰退し、大念仏寺や阿弥陀寺などの堂塔も壊廃していきました。法明上人(鎌倉時代後期)は衰退していく融通念仏宗を復興した中興の祖です。 阿弥陀及び観音・勢至を含む十一体の奏楽菩薩から構成される融通念仏宗特有の来迎図で融通念仏宗の本尊となります。掛軸タイプの本尊の場合は「十一尊天得如来」を飾り、仏像の場合は浄土宗と同じ「阿弥陀如来(舟立弥陀)」を飾ります。 平安時代後期の天台宗の僧侶で、融通念仏宗の開祖です。良忍上人は日に6万編の念仏を唱え、写経に勤しみ、多くの仏像を作るなど、仏教に対して真摯に向き合っていたことが文献として残っています。良忍上人はやがて宮中に招かれるようになり、鳥羽上皇も帰信者とし、融通念仏の考えがさらに知られるようになりました。

ご本尊・脇侍の「お仏壇への飾り方」

ご本尊のみで飾る場合

掛け軸のみで飾る 仏像のみで飾る 仏像+ミニ常花で飾る
融通念仏宗の本尊を掛け軸のみで飾るイメージ 融通念仏宗の本尊を仏像のみで飾るイメージ 融通念仏宗の本尊を仏像+ミニ常花で飾るイメージ
ご本尊を掛け軸のみで飾る方法です。仏像に比べて少し略式となりますが、おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 ご本尊を仏像で飾った例です。仏像で飾ることで存在感があり、お仏壇の存在感が出てきます。 ご本尊を仏像で飾り、その脇に仏教で重要とされる蓮の花の「ミニ常花」を飾ることで、ご本尊を引き立てるおすすめの飾り方です。

ご本尊+脇侍をしっかり飾る場合

掛け軸(3尊)で飾る 仏像+掛け軸(両脇)で飾る 仏像(3尊)で飾る
融通念仏宗の本尊を掛け軸(3尊)で飾るイメージ 融通念仏宗の本尊を仏像+掛け軸(両脇)で飾るイメージ 融通念仏宗の本尊を仏像(3尊)で飾るイメージ
掛け軸(3尊)で飾る方法です。3尊飾ることで融通念仏宗の教えに、より沿うお飾りとなります。おしゃれな掛け軸などもありますのでシンプルなデザインにすることもできます。 ご本尊を仏像で飾り、両脇を掛け軸で飾る方法です。仏像で飾ることで存在感があり、また融通念仏宗の教えに、より沿うお飾りでとても丁寧な飾り方です。 融通念仏宗の場合は掛軸を3尊飾り、その前に舟立弥陀の仏像を飾ることもあるようです。仏像が大きいと掛軸が隠れてしまいますので小さめの仏像か、少し段差がある方が良いでしょう。

融通念仏宗の知識とお参りの作法

総本山

大念仏寺(大阪府大阪市平野区)。平安末期に良忍上人(りょうにんしょうにん)によって創建された融通念仏宗の中心寺院です。

主な経典

「融通念仏縁起」。良忍上人が融通念仏の教えを記した経典です。

線香の本数

線香は1本を香炉に立てて供えます。

お唱えする言葉

融通念仏宗では、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」を唱えることで、阿弥陀如来への信仰と感謝を表します。

南無阿弥陀仏とは

南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)は、阿弥陀如来への「お任せします」「救いを願います」という気持ちを込めた言葉です。
  • 南無(なむ):サンスクリット語の「ナモー」に由来し、「帰依する」「頼る」という意味。
  • 阿弥陀仏(あみだぶつ):無限の光と命を象徴し、すべての人を救う仏様。
この言葉を唱えることで、阿弥陀如来の慈悲に触れ、極楽浄土への往生を願います。

融通念仏宗の主な年間行事

1. 修正会(しゅしょうえ)

  • 時期:1月1日~1月3日
  • 内容:新年を迎え、阿弥陀如来や良忍上人への感謝を込めて祈る法要です。
  • 理由:仏教の教えに立ち返り、新たな一年を始める伝統的な行事です。

2. 良忍忌(りょうにんき)

  • 時期:2月15日
  • 内容:融通念仏宗の開祖・良忍上人を偲ぶ法要です。
  • 理由:教えを広めた良忍上人への感謝を表します。

3. 盂蘭盆会(うらぼんえ / お盆)

  • 時期:7月13日~15日(または8月)
  • 内容:亡き人を供養し、阿弥陀如来の慈悲を願う法要です。
  • 理由:先祖への感謝と仏教の慈悲を実践する重要な行事です。

4. 成道会(じょうどうえ)

  • 時期:12月8日
  • 内容:お釈迦様が悟りを開いた日を記念する法要です。
  • 理由:仏教の教えを再確認し、感謝の心を深める機会です。

5. 開山忌(かいさんき)

  • 時期:寺院によって異なる
  • 内容:それぞれの寺院を開いた祖師を偲ぶ法要です。
  • 理由:寺院の歴史や教えを学び直す機会です。