後悔しない-オイル仕上げのお仏壇や家具のメンテナンスについて インテリア仏壇 ルミエール

後悔しない!オイル仕上げのお仏壇や家具のメンテナンスについて

最近、木の素材感を活かした「オイル仕上げ」のお仏壇家具が注目を集めています。表面にウレタンなどの塗膜を施さず、木本来の質感や手触りをそのまま活かすこの仕上げ方法は、自然なぬくもりや優しい風合いを感じられるのが大きな魅力です。

また、ウレタン塗装などと違い木材が呼吸できるため、使い込むほどに深い味わいが生まれるのも特徴です。近年では、インテリア性の高いモダン仏壇にも多く採用され、ナチュラル志向の方を中心に人気が高まっています。

ただしその反面、オイル仕上げは汚れや乾燥、水分に対してデリケートな一面があり、定期的なお手入れが必要不可欠です。そこで今回は、そんなオイル仕上げのお仏壇や家具を長く美しく保つための基本的なお手入れ方法や注意点を、わかりやすく解説いたします。

オイル仕上げとは?

ポルト 木の質感の見本 アップ画像

オイル仕上げとは、木材の表面に天然由来のオイルを染み込ませることで、木の質感を生かしながら保護する塗装方法です。ウレタン塗装やラッカー塗装のように木の表面をコーティングするのではなく、木の内部にオイルを浸透させることで、しっとりとした手触りと深みのある色合いを生み出します。

オイル仕上げは環境に配慮した塗装方法とも言われており、健康への配慮が求められる小さなお子様のいるご家庭や、化学部室に敏感な方にも安心してお使いいただける点で人気が高まっています。

仏壇にオイル仕上げを施すことで、人工的な光沢ではなく、自然の木目や色合いが空間に柔らかさを与え、落ち着いた雰囲気を演出します。また年月を重ねることで、色味や質感に変化が出る「経年美化」も、オイル仕上げならではの魅力です。

オイル塗装に使われる主なオイルの素材

オイル原材料のイメージ画像

オイル仕上げに使用されるオイルには、自然由来のものが多く、安全性や仕上がりに優れているものが選ばれています。以下は代表的なオイルとその特徴です。

1.亜麻仁油(あまにゆ)

最もポピュラーな自然系オイルの一つです。亜麻という植物の種子から採れる油で、乾燥後には丈夫な被膜を形成します。

当店で扱っているオイル仕上げのお仏壇も、この亜麻仁油を主成分とした浸透性自然塗料を使用しています。なお使用している亜麻仁油は有機栽培・無農薬で育てられたものです。自然に寄り添いながら、安心して使える素材を厳選しています。

このオイルは、木の呼吸を妨げることなく、適度な保護膜をつくってくれるのが特徴で、水をしっかりはじく力がありながら、木そのものの風合いやぬくもりをしっかりと活かすことができます。

また当店で使用しているオイルは、幼児木材玩具としての安全性の規格「DIN EN71 Part3」にも合格しています。これは、幼児用の木製おもちゃにも使えるほど安全性が高いことを示す規格です。大切なお仏壇にふさわしい、信頼できるオイルです。

特徴

  • 浸透性が高く、木の内部にしっかり入り込む
  • 色をやや濃くする
  • 昔から絵画や家具、木製品に使われてきた実績のあるオイル

2.荏胡麻油(えごまゆ)

和風の木工製品や木の器などにも使われてきた伝統的な天然油です。日本では古くから漆器の下地や木製食器の保護などに使われてきました。

特徴

  • 日本の気候に適しており、乾燥性が高い
  • 食品にも使われるほど安全性が高い
  • 自然な仕上がり

3.くるみ油

ナッツ類から採れる植物油の中でも、自然塗装用に使われることが多いです。

特徴

  • アレルギーがある人には要注意
  • しっとりとした仕上がり
  • 塗った後の酸化硬化が早めで、比較的扱いやすい

4.オイルワックス

最近のオイル塗装では、植物油にミツロウやカルナバワックスなどを配合した「オイルワックス」タイプもよく使用されます。

特徴

  • オイルの浸透+ワックスの保護効果が得られる
  • 表面がオイル塗装のみに比べて水に強くなる
  • メンテナンスが比較的容易

オイル塗装=「天然オイル100%」と思われる方もいらっしゃいますが、実際には「乾燥性を高めるための樹脂成分」や「防カビ・防腐のための微量な添加物」が入っている製品もあります。それぞれ特徴や仕上がりが異なるため、製品や用途によって最適なオイル塗装が施されています。

その他塗装仕上げとの違い

仕上げの方法によって、仏壇や家具の印象や扱い方は大きく変わります。ここでは代表的な塗装方法の「ウレタン塗装」「ラッカー塗装」「オイル仕上げ」の3種類を比較してみましょう。

ウレタン塗装とは?

ウレタン塗装の質感見本 アップ画像

ウレタン塗装とはポリウレタン樹脂系のウレタン樹脂で、木材の表面をコーティングする方法です。塗料が乾燥すると、表面に硬い被膜ができ、ツヤが出て傷や汚れに強くなります。

ウレタン塗装が施されているものは、お手入れもしやすく耐久性も強いですが、長く美しく使っていただくためには、お手入れのポイントがあります。

お手入れポイント

  • 柔らかい布での乾拭きを基本として下さい。
  • 定期的にホコリを拭き取って下さい。
  • 水拭きは基本的におススメしません。どうしても汚れが気になる場合のみ、水に濡らして固く絞った布ご使用ください。
  • 化学雑巾や洗剤は使用しないで下さい。塗装が劣化する恐れがございます。

ラッカー塗装とは?

ラッカー塗装とは、ウレタンをシンナーなどで薄めているもので、昔から家具や楽器などに使われてきた塗装方法の一つです。一番安価な塗装方法で、オイル塗装と比較するとツヤが少し出ますが、素材を活かした仕上がりです。

ラッカー仕上げは、比較的簡単に塗装を塗り直しできるのが利点です。ですが、オイル塗装やウレタン塗装と比べ、塗膜が揮発しやすいため、長持ちしにくく、品質としては少し劣ります。そのため、当店では現在ラッカー仕上げの仏壇は扱っておらず、近年では家具やお仏壇にもあまり使われなくなっています。

安価で素材の質感が活かされているものを購入したい方には向いていますが、経年劣化や品質を考えるとあまりおススメできません。

ウレタン塗装・ラッカー塗装との違いまとめ

特徴 オイル仕上げ ウレタン塗装 ラッカー塗装
見た目 自然な風合い・マット仕上げ ツヤのある光沢感 やや光沢、薄膜仕上げ
手触り 木の質感そのまま ツルツルした人工的な質感 滑らかで木の質感を感じられる

耐久性(傷・熱・水・汚れ)

△低い ◎高い △低い
メンテナンス性 △定期的なオイル塗布が必要 ◎乾拭きでOK・水拭き可 〇塗り直しが簡単
経年変化 ◎色味に深みが出る 〇変化は少ない △黄ばみや色ムラが出ることも

オイル仕上げは"育てていく楽しみ"を味わいたいナチュラル志向の方向け、ウレタン塗装はメンテナンスがラクで日常使いに強いものをお求めの方向け、ラッカー塗装は安価で商品を購入したい方向けです。

それぞれの特徴を理解した上で、ご自身の生活スタイルや好みに合ったものを選ぶのが理想的です。

オイル仕上げ仏壇のお手入れ方法

オイルお手入れの見本画像

オイルメンテナンスの頻度について

オイル仕上げの美しさを保つためには、定期的なオイルメンテナンスが大切です。目安としては半年~1年に一度のペースで行うのがおススメです。

オイル仕上げのものは乾燥が進むと水分や汚れが浸透しやすく、傷やシミができやすくなってしまいます。

特に乾燥が気になる冬場や、湿度の変化が大きい季節の変わり目などにはこまめなケアが大切です。メンテナンスをしてあげることで乾燥やひび割れの予防にもつながりますので、最低年に1回のお手入れを習慣にしておくと安心です。

【オイルメンテナンスの手順】

  1. 乾いた布で表面のホコリを落とす。
  2. 柔らかい布にオイルを少量含ませる。
  3. 木目に沿って薄く塗布する。
  4. 数分置いたあと、乾いた布で余分なオイルを拭き取る。
  5. 風通しの良い場所で半日から1日ほど乾かす。
  6. 乾拭きをする。

※余分なオイルを拭き取らないと、時間が経ってもべたついた状態のままになってしまいます。必ず余分なオイルを拭き取ってください。

※オイルが付着した布巾や紙などは酸化熱によって、自然発火する恐れがございます。必ず水で洗い流してから布巾や紙を捨ててください。

【オイルメンテナンスの経過】

オイル塗った部分と塗っていない部分の比較

上記の画像では、お仏壇の扉の右側のみオイルを塗っています。写真を見ていただくと、一目瞭然ですが、オイルを塗った右側は色味が深くなり、自然なツヤが生まれ、木目がよりはっきりと浮かびあがっています。

オイルメンテナンスの経過画像

上記の画像が全体的にオイルを塗って4日ほど経過したものです。塗布直後よりもさらに色味が木に馴染み、自然な風合いがより一層増してきました。ツヤも落ち着き、表面はしっとりとした、ちょうどよい質感になっています。時間の経過とともに、オイルと木材がより一体化し、木本来の美しさが引き立ってきた印象です。さらに日が経つことで、一層自然な味わいが深まり、しっとりとした温もりのある表情へと変化していくことが期待できます。

やってはいけないNGメンテナンス

オイル仕上げのお仏壇は非常に繊細です。以下のような行為は避けましょう。

  • アルコールや家庭用洗剤を使用する→ 木の表面を傷め、変色や乾燥の原因になります。
  • 水拭きの後、そのまま放置する→ 木が膨張・ひび割れする可能性があります。
  • 直射日光やエアコンの風を直接当てる→ 木の乾燥が急激に進み、表面が割れてしまうことがあります。

正しいお手入れ方法を守ることで、お仏壇を長く美しく保つことができます。

よくあるご質問Q&A

Q. 水拭きをしてしまった・・・

A. すぐに乾いた布で水分を拭き取り、その後数日様子を見てください。輪染みが出来た場合は軽くオイルを塗ることで軽減できることがあります。

Q. メンテナンスのオイルはどれがいい?

A. 木工用オイルとして販売されているものなら安心です。天然成分100%の亜麻仁油やタングオイルが人気です。

Q. 食用油などは使って大丈夫?

A. サラダ油やオリーブオイルなどの食用油は酸化が早く、色ムラやべたつき・カビの原因になるためNGです。

Q.お子さんやペットがいるご家庭には何がおススメ?

A.お手入れのしやすさや耐久性を重視する場合、「ウレタン塗装」がおススメです。傷や汚れに強く、丈夫な塗膜で表面が守られているため、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心してお使いいただけます。一方で、塗膜に使われる成分の「安全性」にこだわりたい方は、「オイル塗装」がおススメです。自然由来のオイルを使っているため、人にも環境にも優しく、自然志向の方に人気です。

Q.オイル塗布後、すぐに使ってもいい?

A.半日から1日ほど、風通しのいい場所で乾燥させてください。すぐに物を置いたり触ったりすると、オイルが移ったり乾きムラができることがあります。

オイル仕上げの商品を紹介

家具調仏壇 ノア ウォールナット無垢 15号

上質なウォールナット無垢材を使用し、落ち着きのある木目を生かした、シンプルで洗練されたデザインの仏壇です。コンパクトながらも引き出しや、LED証明、スライド式の仏具台など、使い勝手にも配慮がされております。現代の住空間にも調和する、美しさと機能性を兼ね備えた商品です。

ノア 仏具との組み合わせ画像

■撮影アイテム


モダン仏壇 スクエア ウォールナット 15号

優しい木のぬくもりを感じられ、直線的でシンプルなデザインが映える仏壇です。丸みのないフォルムの中にも、ウォールナット無垢材のやわらかな木目がやさしく調和し、心落ち着く空間を演出します。オイル仕上げによって自然な風合いがそのまま活かされ、触れるたびに温もりを感じられる、現代の暮らしにもそっと寄り添うような商品です。

スクエア オイル仕上げ仏壇の紹介

■撮影アイテム


家具調仏壇 ポルト ウォールナット 16号

やわらかな曲線と異素材の美しさが際立つ、上質なデザイン仏壇です。ウォールナットの深みのある色合いに、バーズアイメープルの淡く繊細な木目がアクセントとなり、空間に上質な存在感をもたらします。取っ手のないフラットな面構成や木目の流れるような表情が魅力です。  ポルト オイル仕上げ仏壇の紹介画像

■撮影アイテム


まとめ:“育てるお仏壇”としての魅力

オイル仕上げのお仏壇は、時間とともに木の味わいが深まり、使い込むことで愛着が増していく“育てる仏壇”です。少し手間をかけることで、いつまでも美しく、心地よい存在として寄り添ってくれます。

インテリア仏壇ルミエールでは、オイル仕上げのお仏壇の販売はもちろん、お手入れ方法に関するご相談も承っております。

お困りの際はどうぞお気軽にご相談くださいませ。

この記事を書いた人

インテリア仏壇ルミエールのスタッフ(菅原美咲)
  • スタッフ名:菅原美咲
  • ルミエール入社:2年
  • 出身地:千葉県
  • 担当業務:店舗接客、ブログ更新

店舗での接客やブログを通じて、お仏壇や仏具に関する知識を日々学んでおります。皆様にとって分かりやすく、読みやすい文章を心がけてお届けします。ルミエールの魅力も合わせて感じていただければ幸いです。

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