仏教では葬儀後も様々な法事や法要が行われます。中でも、大切な法要としては、命日から四十九日目に行う重要な四十九日法要です。四十九日まで魂はこの世にあるとされ、四十九日を境に故人が成仏する大切な日ですので、事前に準備を行い安心して四十九日法要の日を迎えましょう。そこで、四十九日法要を行うにあたり、四十九日法要を寺院・セレモニーホールで行う場合に「必要な準備」と「四十九日法要の流れ」について詳しく解説させて頂きます。
当社は創業から37年経過しますが、創業当初から「ギフト部では香典返し」「仏壇部ではお仏壇の販売」をお客様の四十九法要に合わせてずっと業務を行ってきました。その経験も踏まえて施主様の家族向けに当日困らないようにしっかりとご紹介していきたいと思います。
四十九日法要とは
故人は亡くなった日から四十九日後に仏様の元へ向かうとされています。それまでの間、7日ごとに裁きを受け、四十九日後に極楽浄土に行けるか行けないかが決まる最後の審判の日が四十九日目だと仏教では考えています。
その為、故人が極楽浄土に行けるように、遺族も四十九日までの間7日ごとに祈ること(追善供養という)で故人に善行をプラスしていきます。故人の最後の審判が下る四十九日は、一番大切な日であると考えられているため、しっかりと法要を行い追善供養します。
ちなみに四十九日法要は四十九日目ぴったりで行うことは難しいことが多いので、少し早めて行うケースが多いです。
四十九日法要を寺院・葬祭ホールで行うことについて
四十九日法要を行う場所として多いのは、寺院の檀家の方は四十九日法要の際に納骨も一緒に行うタイミングでもありますので「寺院」で法要を行うことは多いです。またセレモニーホールは駅近くでアクセスが良いことも多いですし、会食をそのまま行うことができますので人数が多い際には無難です。また最近では家族葬を行うことも増えてきましたので、四十九日法要も家族のみで小人数で行う際には「自宅で行う」ことも多くなってきました。
寺院・セレモニーホールで行う場合ですと、ある程度、僧侶や葬儀社さんが主導で行ってくれることが多いので、施主は比較的、楽かと思います。下記では最低限行う準備などを下記でご紹介していきたいと思います。
四十九日法要を自宅で行う場合の服装
家族のみで四十九日法要をするのにどこまで正装すればよいのかと迷う方も多いと思います。もし僧侶を呼んで法要を行う場合は「準喪服」をお勧めします。下記で紹介しますが「正喪服」は最も格式の高い喪服でも喪主と親族(三親等まで)のみが着るのを許された服装です。葬儀の際は「正喪服」を着用することは多いですが、四十九日法要の場合はあくまで「準喪服」で良いでしょう。
「準喪服」は「準喪服=通常のお葬式の際のブラックフォーマル」ととらえて頂ければと思います。
和装の場合は紋付羽織袴で、羽織は黒の羽二重を着用します。
洋装の場合はモーニングコート(上着の背面長くてが曲線的にカットされたコート)で、ワイシャツは白の無地、ネクタイ、ベスト、靴下はすべて黒で統一します。
■ 正喪服(女性)
和装の場合は染め抜き五つ紋の黒無地の着物です。
洋装の場合はブラックフォーマルで胸元の開いたものは避け、襟元の詰まったデザインを選ぶのが良いでしょう。
■ 正喪服(子供)
学生服がある場合は学生服が正しいです。もし制服がない場合、地味な色のブレザーにズボンやスカートを合わせて着ます。
■ 準喪服(男性)
ブラックスーツ(一般的な光沢のない喪服)で、ワイシャツは白の無地、ネクタイ、ベスト、靴下はすべて黒で統一します。
■ 準喪服(女性)
洋装の場合はブラックフォーマルで胸元の開いたものは避け、襟元の詰まったデザインを選ぶのが良いでしょう。
■ 準喪服(子供)
学生服がある場合は学生服が正しいです。もし制服がない場合、地味な色のブレザーにズボンやスカートを合わせて着ます。
■ 略喪服(平服)
私服です。ですがなるべく黒で無地をメインとした服装が良いでしょう。
四十九日法要を寺院・セレモニーホールで行う準備(物品編)
自宅で行う場合は下記のものを事前準備するのがよいでしょう。物品編ということで物品の準備にフォーカスを当ててご紹介していきます。
1. お寺さんへのお布施etc
お寺さんへ四十九日法要の際に渡すのは「お布施」を渡します。またその他の熨斗袋としては丁寧な方は次のものも準備します。
表書き | 水引 | 趣旨 | 金額 | マナー |
---|---|---|---|---|
御布施(おふせ) | 無地 | 四十九日法要の読経、法話などのお礼、お位牌への魂入れ | 2万~5万円程度(葬儀の際に僧侶に払ったお布施の10分の1目安) | 新札を入れ、肖像画がある方を表側に。結婚式やお香典は偶数を使わないといけないですが、お布施は偶数可能です。 |
御膳料(ごぜんりょう) | 無地 | 法要で食事を僧侶に出さない時に渡す | 3000円~1万円程度 | 新札を入れ、肖像画がある方を表側に。 |
開眼供養(かいげんくよう) | 紅白の結び切り | 仏像や掛け軸などの魂入れの御礼(浄土真宗西の場合は入仏式、浄土真宗東の場合は御移徒という表書き) | 3000円~1万円程度 | 新札を入れ、肖像画がある方を表側に。 |
2. 袱紗(ふくさ) or 切手盆(きってぼん)
切手盆は主に自宅で僧侶に渡す場合に使います。なので、寺院やセレモニーホールにもっていく場合は袱紗に入れて持っていくと良いでしょう。その際は受け取りやすいように、袱紗の上に出して僧侶側から見て文字が逆さにならないようにお渡しします。当店でお位牌を購入頂く方は すべてオプション付属品で「切手盆 or 袱紗」を購入することができるようになっております。
ちなみに袱紗のカラーは紫、緑、紺、藍色、灰色などの袱紗を利用するのが一般的です。絵柄などは「無地」か「蓮の花などが入った袱紗」を選びます。慶事用の鶴や亀などの袱紗は向かないので注意してください。
3. 仮位牌と本位牌
「四十九日法要までの仮位牌(白木位牌)」と「四十九日法要後の本位牌」の2本のお位牌を持っていき、僧侶に魂の移し替えをして頂きます。白木位牌はできれば風呂敷などにくるんで丁寧にお持ちください。新しい本位牌に関しては購入時の箱にそのまま入れて持ちこめばよいでしょう。
本位牌の購入に関しては下記の記事をまずは参考にご覧ください。
4. 本尊(仏像や掛け軸)
お仏壇を新しく購入して本尊(仏像や掛け軸)を購入した場合はこちらもお位牌の横に並べて開眼供養をしてもらいます。
仏像は各パーツがバラバラになっており、簡単に組み立てるタイプのものが多いですので、先ほどと同様に購入時の箱に入れて持ちこむことをお勧めします。
両脇の掛け軸も魂入れは必要ですか?とお客様からご質問をいただくことが多いですが両脇の掛け軸も入魂の対象となりますので購入しましたら本尊と一緒に入魂していただきましょう。
本尊・脇侍ともに購入していない場合はもっていかなくて大丈夫です。
5. 法事引き物(人数分)
法事の際にはお茶などの手土産を皆様一律で渡します。それを法事引き物と言います。これは地域によって差がありますので、周りの方の話を参考に準備して頂ければと思います。イメージとしては葬儀の際に一律で配られる2000円~3000円のお茶などをイメージして頂ければと思います。持ち帰るので洗剤など重いものは避けます。法事引き物は香典返しと違って挨拶状などは不要です。仏事に適した包装紙で手配して、紙袋に入れて手渡ししてください。
熨斗紙は香典返しと同じく「志」で大丈夫です。地域と宗旨によって熨斗の表書きが異なりますので下記でご紹介致します。
宗旨 | 表書き | 水引 | のし下 | 備考 |
---|---|---|---|---|
仏教全般 | 志 | 黒白5本結び切り | 喪主様の姓またはフルネーム | 熨斗の文字色は薄墨(灰色) |
仏教全般(主に西日本) | 満中陰志、粗供養、茶の子 | 黄白5本結び切り | 喪主様の姓またはフルネーム | 熨斗の文字色は薄墨(灰色) |
神式・キリスト教 | 偲草 | 黄白5本結び切り | 喪主様の姓またはフルネーム | 熨斗の文字色は薄墨(灰色) |
法事引き物の準備は弊社ギフト部門の「暮らしのギフト ルミエール 楽天市場店」を是非ご利用ください。
四十九日法要の準備(参加者・僧侶への案内~香典返し編)
ここでは主に四十九日法要に至るまで行わなければならない手配をご紹介いたします。香典返しも49日後と思われている方が非常に多いですが、実は49日前に済ませておくのが正しいですのでそちらも合わせてご紹介致します。
1.お坊さんの手配【時期:葬儀後なるべく早めに】
四十九日法要で読経していただくお坊さんを手配します。菩提寺(代々その寺の宗旨に帰依し、先祖の位牌を納めてある寺)があれば菩提寺に連絡し、お坊さんの都合を確認しましょう。
菩提寺がない場合は葬儀社にお坊さんの手配をお願いするのもひとつの方法となりますが、基本的に入魂は葬儀の際に戒名をつけてもらった場合は戒名をつけてもらった寺院に依頼するのが良いでしょう。以前あったケースとして、菩提寺があるのにも関わらず、別の僧侶に依頼したことで問題になってしまったケースがありましたので、僧侶は葬儀と四十九日法要は同じ方にご依頼するのが無難です。
依頼するタイミングとしては葬儀後なるべく早めに依頼したほうが良いでしょう。僧侶も土日は法要が混み合いますのでなるべく早めに依頼することで希望の日時を選びやすくなるはずです。
葬儀の際の僧侶ですが、もし葬儀社が依頼してくれた場合は、特に直接依頼することなく、また葬儀社に頼めばよいでしょう。
2. 参加者へ案内状の送付【時期:遅くとも1か月前までに到着】
参列者にむけて案内状を送ります。一般的に電話などは用いず案内状などの文面で送付することが多いです。遅くとも1か月前には案内状が先方に届くように送るようにしたほうが良いでしょう。そう考えると葬儀から10日くらい経過したら案内状の準備をされるのが無難です。悲しみに暮れていることと思いますが、無理をせずに用意してください。
ただ、家族や親戚のみで行う際など少人数で行う際は電話(LINE、メール)で案内する形でも良いでしょう。
3. お斎(法要時の会食)の準備【時期:なるべく早めに】
寺院やセレモニーホールで行う場合は依頼する際に参列者の出欠が分かり次第、「会食もしたい旨」を伝えて頂ければ会食会場がある寺院やセレモニーホールの場合は用意して頂けるでしょう。
ちなみに会食のことをお斎(おとき)と言います。お斎とは法要時の食事のことを指します。もともとは僧侶にふるまう料理を「お斎」と言いましたが、現在では法要時に振る舞う料理を指します。お斎として出される食事は、一人分がしっかりと分かれているお弁当などが好まれます。取り分ける会食料理などはなるべく避けた方が良いでしょう。
お斎の献立は、僧侶の食事であったという歴史から肉や魚が使われない精進料理でした。ですが法要後の食事という意味に変わってからは、献立の内容も比較的自由になっています。ただし、献立の中に海老や鯛などおめでたい席の食材が入らないよう、注文する際にはあらかじめ四十九日法要の会食であることを伝えましょう。予算は3,000円~10,000円程度が相場です。
また現在はコロナなどの関係もありますので持ち帰り用のお弁当とお酒を準備されるのも良いでしょう。持ち帰り用弁当を用意する場合においては参加者にあらかじめ食事がない旨を伝えておきましょう。食事会を開かない場合は、法要が終了した後にお弁当を持ち帰ってもらうよう案内します。その際に「本来は食事会を行うべきですが・・・」という締めの言葉を添えると良いでしょう。
4. 香典返しの準備【時期:四十九日法要日に発送して法要の翌日から届くように】
葬儀の際、法要の際に参列者からいただいた香典のお返しを法要後に準備します。一般的に多いものはカタログギフト、お茶、タオル、洗剤などがよく選ばれます。丁寧な贈り方は挨拶状をつけて、熨斗紙をつけてご自宅に発送するのが一般的です。
熨斗は一般的に「志」が多いですが地域性や宗派によって変わるケースがありますので、下記にまとめております。
宗旨 | 表書き | 水引 | のし下 | 備考 |
---|---|---|---|---|
仏教全般 | 志 | 黒白5本結び切り | 喪主様の姓またはフルネーム | 熨斗の文字色は薄墨(灰色) |
仏教全般(主に西日本) | 満中陰志、粗供養、茶の子 | 黄白5本結び切り | 喪主様の姓またはフルネーム | 熨斗の文字色は薄墨(灰色) |
神式・キリスト教 | 偲草 | 黄白5本結び切り | 喪主様の姓またはフルネーム | 熨斗の文字色は薄墨(灰色) |
当店のギフト部でお手配する中で一番多いタイミングとしては四十九日法要の日に発送して、法要の翌日から皆様のお手元に届くようにお手配することが一番多いです。香典返しの準備は弊社ギフト部門の「暮らしのギフト ルミエール 楽天市場店」を是非ご利用ください。
四十九日法要の当日の流れ
自宅で法要をされる場合はそんなに人数を呼んだ法要でないと想定できますのでそれを想定した流れをご紹介致します。
1. 僧侶が来たら挨拶をしてお布施etcを渡す
「本日はお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします」と僧侶に挨拶をして、御礼のお布施etcをお渡しします。渡し方は先ほどご紹介しました 袱紗 に乗せて渡します。
2. 施主の四十九日挨拶
皆様に向けて簡単に挨拶をします。「集まってくれたことへのお礼」を述べてこれから法要を開始する旨を伝えることが目的です。あまり長くなりすぎずに挨拶をしていただければと思います。
本日はお忙しいなか、亡き父のためにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
葬儀の際に頂きましたご厚情にも、改めて深く御礼申し上げます。
母が旅立ってから49日が経ちましたが、今でも笑顔で見守ってくれているように思えます。
今日は皆さまとお会いできたことを、天国で喜んでいることと思います。
本日は一日、何卒よろしくお願いいたします。
それではご住職、よろしくお願いいたします。
3. 祭壇前での四十九日法要
3-1. 僧侶による法話
僧侶から祭壇の前で皆様へ法話をして頂きます。
3-2. 読経
読経をして頂きます。念珠を持っている方は手にかけて追善供養をして下さい。
3-3. お焼香
先程ご紹介しました「焼香台(廻し香炉)」を僧侶が読経をしているあいだに焼香を廻していきます。施主→親族→友人→知人の関係の深い順で焼香を回していきます。
3-4. 開眼供養(位牌と本尊への魂入れ)
新しく購入した本位牌や本尊へ魂入れをして頂きます。
3-5. 僧侶による法話
最後に法話をして頂きます。法話後、会食となりますが、住職が会食しない場合は住職は法話後、帰られます。ですので住職の会食の有無を事前に確認しておき、しない場合はお布施と一緒に「御膳料」をお渡しするのが丁寧です。
【会食なしの場合】挨拶をして法事引き物とお弁当を手渡し、終了。
挨拶をして法事引き物とお弁当を引き渡して終了します。その際の挨拶は下記のような文面で良いと存じます。
本日は、ご多用中にも関わらず、亡き父の四十九日法要お集まりいただき、誠にありがとうございました。
皆様のおかげで、無事に四十九法要を執り行うことができました。
父も皆様にお越しいただけたこと大変喜んでいることと思います。
本来ならば、会食の席を設けるところではありますが、コロナウイルスの問題もありますので、ここでお開きとさせていただきます。
心ばかりの御礼の品を、ご用意させていただいております。お荷物になるかと存じますが、お持ち帰り頂けますと幸いでございます。
本日は誠にありがとうございました。
4. 【会食ありの場合】会食(お斎)
会食をする場合は先ほどの「お斎」の部分でご紹介した通りに準備して頂ければと思います。
4-1. 施主の会食の挨拶&献杯
施主の挨拶から始めます。その際に「献杯(けんぱい)」の音頭も一緒に取られるとスムーズで良いでしょう。仏事では「乾杯(かんぱい)ではなく「献杯(けんぱい)」と言いますのでその部分だけは間違えないようにご注意頂ければと思います。乾杯はおめでたい席のみ使用します。
本日はご多用の中、お集りいただきましてありがとうございました。
おかげさまで父の四十九日法要を無事終えることができました。
ささやかではありますが、皆様と共にお食事を頂きつつ、父の思い出話なども伺えたらと思います。
それでは献杯をさせて頂きます。皆様お手元のグラスをお取りになって下さい。
故人の安寧と皆様のご多幸をお祈りしまして、献杯。
5. 法事引き物の手渡し~解散
会食がそろそろお開きになるタイミングで締めの挨拶をして下さい。
本日は御多忙の中、父のためにお集まり頂き、誠にありがとうございました。
父も皆様にお越しいただけたこと大変喜んでいることと思います。
名残惜しくはありますが、そろそろ終わりの時間が近づいてきましたのでお開きとさせて頂きます。
父亡き後、寂しさも感じておりますが、父の生前同様これからも変わらぬご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
心ばかりの御礼を、ご用意させていただいております。お荷物になるかと存じますが、お持ち帰り頂けますと幸いでございます。
本日は誠にありがとうございました。
まとめ
法事引き物を渡しながら、参列者に御礼を述べてください。ちなみに参列者が多い場合は会食の席に事前においておくことが多いです。
以上で終了となります。
まとめ
今回は四十九日法要を自宅で行う場合の事前準備~法要の流れまで書かせて頂きました。四十九日の法要は悲しみに暮れる中、意外とあっとゆう間に来てしまいます。準備を何もできていなかったということが無いように本記事をご覧いただき、準備を進めて頂ければ幸いです。
引き続き様々なカテゴリーのブログを掲載していきますので是非ご覧頂ければと思います。