昨今では直接お店に行かなくてもインターネット上で買い物ができるようになり、便利な世の中になったなぁと常々思ったりしています。僕もよく利用するのですが、インターネットで商品を購入する際にはその商品の情報を細かく確認します。
サイズであったり生産地であったりと確認した上で購入するか決めるのは、直接見ていないので失敗したくないからです。
当社ではお仏壇のインターネット販売をしておりますが、少しでもお客様にご安心してお買い物をして頂きたいという考えから、細かく品質表示(スペック)をしております。
ですが、普段中々お仏壇に接する機会も多くはないと思われます。
専門的な情報も多いのでピンとこない方も。。。
下記の品質表示を見て全て理解できますでしょうか?
今回はお仏壇の品質表示(スペック)の見方についてまとめてみました。
お仏壇選びのポイントになりますので、ぜひご覧いただければと思います。
【必ず確認したい1点目】表面仕上げに関する注意点
お仏壇の塗装に関係する「表面仕上げ」についてです。塗装が良いと当然ながら木材は綺麗状態で長持ちします。逆に塗装が悪いと木材の日焼けが発生してしまったり、お茶をこぼしてシミになってしまったり、線香が倒れて木材が焦げてしまったりと様々な障害が生まれます。
表面仕上げによって見た目の仕上がりも特長も異なります。ちなみに当社では家具にもよく使われているウレタン仕上げの物を多く取り扱っております。
【一番強靭で万人におすすめ】ウレタン仕上げ
ポリウレタン樹脂塗料で仕上げたもの。ポリエステル樹脂塗料に比較すると薄い塗膜でありながら、高い硬度を特徴とし、耐光性(紫外線による変化に対する強さ)に優れています。汚れにも強く塗り方次第で自然な仕上がり方にも光沢を出す事もできるので、当社の取扱いお仏壇でもこの仕上げ方が一番多く採用されています。
さらに木目感と木材の美しさをそのまま生かした「オープン仕上げ」と、塗装を塗っては磨くを幾度も繰り返して鏡面のように仕上げる「鏡面仕上げ」があります。
オープン仕上げはごく薄い塗膜ですが木の表面に硬い塗膜を作るので汚れや傷には強く、木材の質感と木目を生かしながら塗膜の保護を付加できる塗装仕上げです。
鏡面仕上げは大変高度な技術が必要とされています。熟練の職人が塗装の層をむらなく塗り重ねて鏡のような表面にしてツヤと透明感を出します。美しく高級感を演出できます。
【安価だが品質は良くない】セルロースラッカー仕上げ
セルロースラッカー塗料で仕上げたもの。木の質感はウレタン仕上げよりも残ります。速乾性で作業性能が高いですが、肉持ちは薄い為、安価な仕上げです。当店はセルロースラッカー仕上げのお仏壇は品質の観点から1本も取り扱っておりません。
※ちなみに上記のお仏壇は以前はセルロースラッカー仕上げで取り扱い中止しましたが、現在はウレタン仕上げに変更となったため取り扱いを開始しました。
【鏡面のお仏壇に使われる】ポリエステル仕上げ
鏡面のお仏壇はこちらの塗装のお仏壇が多いです。塗装を塗っては磨く塗っては磨くを何度も繰り返すため、作り手側から見ると手間がかなりかかる仕上げです。ポリエステル樹脂塗料で仕上げた塗装です。ポリエステル樹脂塗料は塗装面の肉持ちがよく、透明度が高く、光沢度も高いです。ただし注意点としては仏具の擦れで小傷がつきやすいです。
【木材にこだわりを持つ方におすすめ】オイル仕上げ
こちらはほとんど塗装がされていない状態だと思ってください。なので正直、木材は熱や水にも弱いです。ですが木材の質感を楽しめるので一定の人気があります。木材を好きな方が好んで選ぶ塗装方法かなと思います。
オイル仕上げは植物性油を主材とした塗料で、塗膜を作ることよりも、素材に塗料を浸透させ、木質感を美しく表現する塗装方法です。植物性油なのでお子様にも安心です。
経年のお手入れも行った方が良くて、一年に一度はオイルの塗足しをするのが良いでしょう。オイルを布にしみこませお仏壇に塗り込むだけで難しくはありません。
【必ず確認したい2点目】木材の使用方法に関する注意点
お仏壇で上記のような木材をそのまま使用するケースはほとんどありません。特殊な加工方法でお仏壇を形成する木材にしていく訳ですが、木材の使用方法には大きく分けると5種類あります。
上記の画像でいうとウォールナットの後に書かれている文字が下記の見出しの【】内に当てはまります。
【無垢】木材そのままを使用
全く混じり物の無い原木から加工をした物を無垢と呼び、無垢板のみもしくは無垢板を寄木したものを無垢と表記します。反りなどもある為、加工が難しく無垢材のみでお仏壇を作られる事はそう多くありませんが一部の商品で無垢材のみで作られた商品もあります。安心したメーカーが作るものでないとすぐに反ったり変形したりがあるので、安心したメーカー・販売店のものが良いでしょう。
【厚板貼り】木材の表面に厚い板を貼る
木材の無垢板(3ミリ以上の厚さ)を芯材に貼ったものです。練りとも言われる加工方法で、お仏壇では唐木仏壇などで昔から使われている方法です。カットした木材の3方向から貼ってあると「三方練り」などともいわれます。
【薄板貼り】木材の表面に薄いスライスした木材を貼る
木材の突板(0.1~0.8ミリ程度の薄さ)を芯材に貼ったもので、突板とは美しい木目の原木を薄くスライスしたものです。家具やお仏壇では最も一般的な加工方法となります。家具業界やお仏壇業界の人は突板(つきいた)といったりもします。木材の反りなどもありませんので品質は安定します。
【調プリント】芯材に木材の模様のシートを貼ったもの(本当の木材でなく木材の写真)
芯材に木材の模様を直接印刷したもの又は印刷したシートを貼り付けたものです。「~調」と表示されます。
一番安いですが品質は良くないものも多くあります。特に海外製の「調プリント」との組み合わせは経験上、あらかじめ良くないと割り切って購入してください。
当店は「調プリント」のお仏壇は品質の観点から1本も取り扱っておりません。
【調着色】芯材に木材の色を着色したもの
芯材に木材の色を着色したものです。木材の質感が一切ないお仏壇などはこちらの「調着色」で仕上げられます。
要は芯材に着色するので安価です。品質面は粗悪なものもあれば良質なものもありますので一概には言えません。
【必ず確認したい3点目】F★★★★(フォースター)かどうか
フォースターとは、お仏壇に使う塗料・芯材・接着剤などのホルムアルデヒド発散速度に応じてF★ ~ F★★★★でJIS・JASで定められる基準を言います。これはシックハウス症候群(※1)の原因の一つであるホルムアルデヒドの発散量の目安にするものです。 ルミエールの国産仏壇はすべてF★★★★の塗料・芯材・接着剤となります。
(※1)近年、住宅を中心に入居した人がめまいや吐き気、頭痛、などの症状が現れる「シックハウス症候群」が問題となっています。原因の一つに建材や家具などから発散するホルムアルデヒドなどが原因とされています。フォースターを使用しているからといって、ホルムアルデヒドを全く発散しないわけではないですが、基準をクリアしたものとしてないものでは、発散速度や発散量が全く違うものになります。
【勘違いしやすい注意点】品質の良し悪しは「お仏壇の重量」は関係ない
お仏壇の重量についてですが、やはり重たい方がしっかりしているイメージもありますので高級なのでは?と思われる方も沢山いると思います。
芯材に使われることの多い、MDFは「木のチップをぎゅっと圧縮して接着剤で固めたもの」です。重量は無垢材よりも重くなる場合が多く、お仏壇がずっしりとした重量感になります。
無垢材の使用率が高いほうが高価ですが、比重はMDFに比べ無垢材のほうが軽い為、無垢材を使用したほうが重量は軽くなります。
なので重たいから高価という訳でもなく、重たいから良い木材を使っている、良い加工がされている、という事では無いのです。
もちろん重量のみでお仏壇を選ばれる事は無いと思いますが、置く場所などの関係で重量を気にされる際、
軽いから良くないという事ではないとだけご理解いただければと思います。
【品質表示だけでは見えない】不具合が多いお仏壇メーカーと少ないお仏壇メーカー
品質表示だけでは見えない部分がお仏壇各メーカーの品質レベルです。
品質を大きく分けるのは「国産仏壇」か「海外製仏壇」なのかなのですが、良い品質の「国産仏壇」の中でも実はメーカーによって雲泥の差があります。
これは品質表示ではお客様が判断できない部分です。
当店はお仏壇を出荷時に必ず検品をしてから出荷するのですが、検品時に不具合があったらメーカーに商品を返送します。
優良なメーカー品は95%程度の検品合格率ですが、あまりよくないメーカー品ですと60%程度に落ちるケースがあります。(当店の検品体制が非常に厳しいのもあります)
当店も月間で100本程度のお仏壇を検品しますので検品には膨大な手間がかかります。なので60%のメーカー品は基本的にラインナップから除外していきます。
このメーカーの選定は仏壇店の運営姿勢にかかわります。60%のメーカー品は見た目以上に安価な場合が多いですが、当店はお客様に最良のお仏壇を効率よく届けることで
お仏壇のお値段を下げる考えで運営していますので、優良なメーカー品のみをお届けしています。
まとめ
以上のポイントさえ理解できればもうお仏壇選びに迷う事はありません。
大変高価なお買い物ですし、何度も購入するような物では無いからこそ、ご自身の納得のいくお仏壇をお選びいただきたいと思います。
当社の商品ページではなるべく『詳しく分かりやすく』掲載するようにしております。写真も正面からだけでなく様々な角度からのを掲載する事で、実際に設置された時のイメージを思い描きやすくなるように心がけております。実際に商品をご覧になれない方でも安心してお買い物をしてもらえたら幸いです。
もしわからない事がありましたらご遠慮せずにお問い合わせください。