お仏壇にお参りをするときに「自分の作法は正しいやり方なのかな?」と戸惑ったことはありませんか。
そもそもお仏壇とは小さなお寺のようなものと考えられています。そして故人の位牌とご本尊が安置される場所です。故人とはもうお話しすることはできませんので、お仏壇にお参りをして心の中で対話をします。
また、今日一日家族が元気に過ごせるようにご先祖様にお祈りをします。
お参りをする事で、静かな時間を過ごし自分自身を見つめ直す・・・なんて事もできるかもしれません。お仏壇へのお参りは故人やご先祖様への感謝の気持ちを持って行います。
なんとなく見様見真似でやってしまっている人は、間違えた作法でお参りしてしまっている人も少なくありません。宗派によってもお仏壇のお参り方法は違いますし、毎日のお勤めだからこそ、正しいお仏壇の作法について覚えておきましょう。
お仏壇にお参り(お勤め)をする正しい作法
宗派によっても違いますが、基本は朝夕の2回となります。日々のお仏壇へのお参りのことを「お勤め」といいます。具体的なやり方は宗派や地域によって異なりますので菩提寺に確認してみるのをおすすめしますがここでは一般的なお参り方法をご紹介いたします。
- 朝のお勤めの方法として身支度を整えたうえで扉を開けます。(基本的にはお仏壇は夜は閉め朝になったら開けます)
- 「水またはお茶」と「ご飯」をお供えします。(※1)
- その後、仏壇の前に座って一礼したあとにろうそくに火を灯します。
- リンを鳴らします(※2)
- 次に線香に火を灯し、手を合わせお経や念仏を唱えます。(※3)
- 手を合わせたあとに一礼し、ろうそくの火を消します。(※4)
- ご飯をなるべく午前中の間に下げて、おさがりを頂きます。
夕方のお勤めですが、基本的には朝のやり方と変わりませんが、朝ご飯をお供えすればご飯はあげなくてよいでしょう。もし時間を確保するのが難しいのであれば、合掌礼拝だけでもしておくと感謝の気持ちを伝えることになります。そして夜には仏壇の扉を閉めます。
お参りの際の詳細や注意点
(※1)ご飯はどのようにお供えすればよいのか
朝炊いた最初のご飯を仏飯としてお供えします。炊きたての一番のご飯をお供えするということはとても大切です。ご飯を仏様にお供えするのは、ご飯を食べるためではなく、炊き立てのご飯の湯気を召し上がって頂くためです。亡くなった方にとっては「香食(こうじき)」といって香りが食べ物になるためです。これはお線香を供える際と同じ考え方です。なのでご飯から湯気が出なくなったらお仏壇から下げて、おさがりを頂きます。その際ですが仏飯器に直接お米をお供えすると衛生上よくないので、サランラップを下に一枚敷いてからお供えすることをお勧めします。それであればおさがりも抵抗なく、また仏飯器も毎日洗うことなくお使いいただけます。
(※2)リンの鳴らす回数【宗派別】
リンを打つ回数は1回~3回となります。特に宗派に対して強い宗教心がなければ1回鳴らす形でよいと思いますが、正式に行いたい方向けに宗派によって異なるリンの打つ回数の違いを説明します。
- 浄土宗…読経を読むときのみ鳴らします
- 浄土真宗…合掌礼拝のときには鳴らさずに、お勤めのときのみ鳴らします。はじめに2回鳴らし、なかで1回、最後に3回打ちます
- 真言宗…1回目は優しく叩き、2回目は少し強めの合計2回です
- 曹洞宗…お寺によっても異なり、2回(内側)と3回鳴らすお寺があります
(※3)お線香の本数【宗派別】
お線香の本数や供え方は通常気にされない場合は1本を立てる形でもよいですが、本来は宗派によって異なります。ちなみにお仏壇で使われる線香は一般的なものは「短寸(約13cm)」と呼ばれるサイズです。燃焼時間は1本あたり約25~30分ですが実はお経を1回読み上げる時間に合わせています。
- 浄土宗…1本~3本を折らずに香炉の真ん中にお供えします
- 浄土真宗…1本のお線香を真ん中から割って横に寝かせます
- 真言宗…線香は正式には3本ずつ供えます。また立て方にも決まりがあり香炉のなかで逆三角形に置くのがポイントです。折らずに1本を手前、残りの2本を仏壇側に供えます
- 天台宗…線香は正式には3本ずつ供えます。また立て方にも決まりがあり香炉のなかで逆三角形に置くのがポイントです。折らずに1本を手前、残りの2本を仏壇側に供えます
- 日蓮宗…線香1本を折らずに香炉の真ん中にお供えします
- 曹洞宗…線香1本を折らずに香炉の真ん中にお供えします
- 臨済宗…線香1本を折らずに香炉の真ん中にお供えします
(※4)ロウソクの注意点
ろうそくを口で吹いて消すのはマナー違反になります。人間の口は噂や悪口、ときには騙したりするなど災いの元とするゆえんからです。必ず、手であおいで消すか仏具を使って消すようにします。
このような火消つきライターもあり、非常に便利ですので、手で消すのが怖い方はおすすめです。
まとめ
お仏壇の正しいお参り作法について意外と知らないことも多いのではないでしょうか。大切なことは故人に対しての思いをきちんと伝えること、尊重する気持ちをもち正しい作法で行えるようにしなくてはいけません。
お参りに使う仏具や所作にもそれぞれに意味がありますし、正しい作法でないと失礼になってしまいます。お仏壇へお参りする機会の少ない人でも正しいマナーを知っていればいつでも自信を持って、お仏壇へのお参りができるはずですよ。