過去帳を新しくご用意された方から、当店では「いざ記入しようとすると、何をどの順番で書けばよいのか分からない」「戒名がない場合はどう書けばいいのか」といったご相談を数多くいただいてきました。この記事では、そうした店頭でのやり取りを踏まえながら、過去帳の書き方の基本、日付あり・日付なしの違いとそれぞれの並べる順番、戒名の有無によるレイアウトの記入例、行年・享年の表記が揃わないときの対処法、過去帳には書かない文字などについて、順を追ってまとめて解説していきます。
なお、過去帳の書き方は宗派や地域、菩提寺の考え方によって細かな違いがあります。この記事でご紹介する内容はあくまで一般的な考え方であり、断定的なものではありませんので、実際に記入される際は菩提寺のご住職にも一度ご確認いただくと安心です。
過去帳そのものの選び方から確認したい方は、以下のページもあわせてご覧ください。
過去帳の「日付入り」「日付なし」の違いとメリット・デメリット
過去帳には、ページの上部にあらかじめ日付が印刷されている「日付入り」タイプと、日付が印刷されていない「日付無し」タイプがあります。どちらを選ぶかによって記入の仕方や、後々の管理のしやすさが変わってきますので、まずはそれぞれの特徴を押さえておきましょう。
日付入り(日付あり)の過去帳とは
1日~31日までの日付が過去帳上部に書かれて付がいて、月命日順に故人様の情報が書かれます。例えば9月15日に亡くなったご先祖様がいれば15日のページに情報が記載されます。なので○月15日に亡くなった人が極端に多い場合などは、記入しきれなくなる事もあります。その場合は前後のページに記入する形となってしまいます。
お祀りの仕方としては毎日1ページずつめくり、その月命日のご先祖様にお線香をあげるといった感じで先祖供養をしていきます。
日付無し(日付なし)の過去帳とは
単に亡くなった順に記載されるのが「日付無し過去帳」です。月命日は関係ないですし、過去帳に記載されない無駄なスペースは発生しません。
筆者の個人的な見解となりますが、もし日めくりして月命日にお線香をお供えするという行為をしない場合は、単に亡くなられた順で記載してある「日付無し過去帳」の方が子孫の方は見やすいような気がします。ここはご家族でご相談されて製作されると良いでしょう。
日付あり・日付なしの比較表
| 項目 | 日付入り | 日付無し |
|---|---|---|
| 特徴 | ページに日付があらかじめ印刷されており、月命日にあたるページへ記入していくタイプ | 日付の印刷がなく、亡くなられた順番に沿って記入していくタイプ |
| メリット | 命日のページをめくればすぐにご先祖様のお名前が分かり、月命日ごとの供養がしやすい | 記入する場所が固定されないため自由度が高く、無駄なスペースが一切でないので多くのご先祖様を書ける |
| デメリット | 同じ月命日の方が複数いらっしゃると、1ページに書ききれなくなることがある | 特定のご先祖様の月命日を確認したいとき、ページをめくって探す必要がある |
日付入りは月命日ごとの管理がしやすく、日付無しは記入の自由度が高いという特徴があります。どちらが優れているということではなく、ご家庭での管理のしやすさや、お寺・地域の慣習に合わせて選ばれるとよいでしょう。迷う場合は、菩提寺に確認しながら決めることをおすすめします。
当店でも日付入り・日付無し、両方のタイプの過去帳を取り扱っております。実物のイメージを確認したい方は下記もご参照ください。
過去帳の記入例|戒名ありのレイアウト
戒名(法名)がある場合の代表的な書き方として、2行で書く方法と3行で書く方法があります。ここでは基本的なレイアウトの見本をご紹介します。実際の書き方は菩提寺やご家庭によって多少異なりますので、あくまで一例としてご覧ください。
戒名ありで2行に書く場合
2行で記入すると、限られたページの中に多くのご先祖様の情報を残すことができます。
片側の2行を使って、1名様分の情報をコンパクトに記入するレイアウトです。1行目に没年月日と戒名、2行目に俗名と行年(享年)・年齢を記入する形が一般的です。
- 1行目:〇〇院〇〇居士(戒名)
- 2行目:〇年〇月〇日 俗名 〇〇〇〇 行年〇〇歳
戒名ありで3行に書く場合
3行で書く場合は、文字を大きめに記入できるため見やすくなる一方、1ページに記入できる人数は少なくなります。ページの見やすさを重視するか、多くの人数を記録できることを重視するかで、どちらのレイアウトが合っているか変わってきます。
片側の3行を使って、1名様分の情報をゆったりと記入するレイアウトです。没年月日、戒名、俗名・年齢をそれぞれ別の行に分けて記入します。
- 1行目:〇年〇月〇日(没年月日)
- 2行目:〇〇院〇〇居士(戒名)
- 3行目:俗名 〇〇〇〇 行年〇〇歳
過去帳の記入例|法名(浄土真宗)のレイアウト
浄土真宗では、戒名ではなく「法名」を用いる点が特徴です。法名の場合も、2行で書く方法と3行で書く方法があり、基本的な考え方は戒名ありのレイアウトと近いものになりますが、宗派の教えにより行年・享年の書き方や考え方が異なる場合もあります。記入の際は菩提寺にご確認いただくと安心です。
法名ありで2行に書く場合
片側の2行を使って記入するレイアウトです。1行目に没年月日と法名、2行目に俗名を記入する形が一般的です。
- 1行目:釋〇〇(法名)
- 2行目:〇年〇月〇日 俗名 〇〇〇〇 行年〇〇歳
法名ありで3行に書く場合
片側の3行を使って、ゆったりと記入するレイアウトです。没年月日、法名、俗名をそれぞれ別の行に分けて記入します。
- 1行目:〇年〇月〇日(没年月日)
- 2行目:釋〇〇(法名)
- 3行目:俗名 〇〇〇〇 行年〇〇歳
過去帳の記入例|戒名なし・俗名のみのレイアウト
戒名がない場合は、俗名(生前のお名前)を中心に記入します。戒名を用いない考え方の宗派の場合や、菩提寺を持たないご家庭などでは、俗名のみで過去帳へ記入されるケースがあります。この場合も、2行で書く方法と3行で書く方法があります。
俗名のみで2行に書く場合
注意点としては俗名という文字は基本入れません。戒名と俗名がある場合は、いれますが、俗名単体の場合は置き文字は入れないのが一般的です。
- 1行目:〇〇〇〇(俗名)
- 2行目:〇年〇月〇日(没年月日) 行年〇〇歳
俗名のみで3行に書く場合
注意点としては俗名という文字は基本入れません。戒名と俗名がある場合は、いれますが、俗名単体の場合は置き文字は入れないのが一般的です。
- 1行目:〇年〇月〇日(没年月日)
- 2行目:〇〇〇〇(俗名)
- 3行目:行年〇〇歳(続柄などを添えて記入する場合もあります)
「行年」「享年」や年齢の表記がバラバラなときの書き方
年齢の表記には「行年」「享年」のほか、単位として「歳」「才」といった違いもあります。長く受け継がれている過去帳では、ご先祖様ごとに書き方が異なっていることも珍しくありません。
このような場合、必ずしも表記を統一しなければならないという決まりはありません。気になる場合は、直近に記入されている表記に合わせる、あるいは今後の記入方法をあらかじめ決めておくと、次に記入される方も迷わずに済みます。
満年齢・数え年のどちらで数えるかについても、宗派や地域、寺院の考え方によって違いがあるため、不明な点は菩提寺へ確認しておくと安心です。
「旧字体・異体字」があるときの書き方
古いご先祖様の場合、旧字体や異体字が多く出てきます。これを現代字に直すかどうかという部分になりますが、基本的にはどちらでも間違いではありません。そのまま旧字体で書いても良いですし、現代字に直しても良いでしょう。ご家族が納得される形で構いません。
過去帳に書かない方がよい文字
お位牌には記載されていても、過去帳には書かないことが多い文字があります。例えば、戒名の上に付けられる「梵字(ぼんじ)」や、臨済宗・曹洞宗などで見られる「新帰元」、戒名の下に付けられる「位」「霊位」といった文字です。これらは位牌特有の表記として扱われることが多く、過去帳には記載しない場合が一般的とされています。
一方で、浄土真宗や日蓮宗などで戒名(法名)の上に記される「冠字」については、過去帳へも書く場合があります。ただし、こうした慣習も宗派や地域、菩提寺の考え方によって異なる場合があるため、不明な場合は記入前に確認しておくと、書き損じを防ぐことができます。
過去帳を書くときにおすすめの筆記具
過去帳は和紙でできていることが多く、墨や一般的な筆記具では文字が滲んでしまうことがあります。実際に店頭でも「書いている途中で滲んでしまった」というお声をいただくことがあり、記入する際の筆記具選びは意外と重要なポイントです。
当店で扱っている商品ではありませんが、滲みにくい筆ペンとして「完美王」は書きやすいと評判の商品です。細字で戒名や俗名をきれいに記入したい場合や、手書きに慣れていない方の練習用としても取り入れやすい筆記具ですので、記入具選びに迷われている方は候補のひとつとして検討してみてください。

いきなり本番のページに書き始めるのではなく、まずは鉛筆で下書きをする、練習用の紙で試し書きをしてから本番に臨むなど、事前の準備をしておくと落ち着いて記入を進めることができます。
当社で以前に名入れを承っている過去帳に関しては下記から名入れのご依頼を頂くことも可能です。
まとめ|過去帳の書き方に迷ったら
過去帳の書き方には、日付あり・日付なしの違いや、戒名の有無によるレイアウトなど、いくつかのパターンがあります。基本的にはすでに記されているご先祖様の書き方に揃えることが多いですが、新しく過去帳を用意される場合は、この記事でご紹介した記入例を参考にしてみてください。
宗派や地域、菩提寺によって書き方の考え方が異なる部分も多いため、不明な点があれば無理に自己判断せず、菩提寺や仏壇専門店へ確認しながら進めることをおすすめします。過去帳選びからじっくり検討したい方は、記事内でご紹介したページもあわせてご活用ください。









