【真言宗の仏壇】の飾り方を解説。仏具の配置、お供えetc

本日は仏教の宗派の一つでもある「真言宗」における基本的な「お仏壇の飾り方」をご紹介いたします。
真言宗」の方はこちらのページをご覧いただければ「真言宗の教えに沿ったお仏壇作り」をすることができ、迷われることはないかと存じます。

実はお仏壇を飾るにあたり、宗派ごとに変わる部分は本尊くらいで、宗派ごとに気を付ける点はそんなに少ないないのですが、宗派ごとに知っておきたい飾り方や他の宗派と異なる部分などもありますので、その点も含めてご紹介いたします。

この記事がお仏壇の購入を検討されている方のお役にたてれば幸いです。

そもそも真言宗ってどんな宗派?

真言宗は、社会科の教科書にも登場するほど有名な弘法大師(空海)を開祖とする宗派です。真言密教とも言い、密教の修行で誰でもがすぐに仏になることができる、「即身成仏」が教えの根幹です。また現在、真言宗の主要な派は16派で、18の総本山・大本山に分れています。これらの本山のことを「真言十八本山」と呼びます。真言宗の派の中でもさらに大きく別けると「古義真言宗」「新義真言宗」「真言律宗」の3つに分けられます。

真言宗の総本山「金剛峯寺」

真言宗の推奨の「お仏壇の向き」

基本的にどの向きを向いているからダメといった決まりはありません。どの向きでも大丈夫です。ですが宗派ごとにどの向きが良いといった考え方もあります。真言宗の場合は「本山中心説」を推奨しており、仏壇の前に座って礼拝するとき、拝む延長線上に宗派の総本山(金剛峯寺)がある方向に安置します。本山によって、住む場所によって、西向きにも東向きにも南向きにもなります。ですが家の中でぴったりの向きにご設置されることはなかなか難しいですので深く気にされる必要はないでしょう。

【本山中心説】宗派の総本山に向かって拝む向き

お仏壇の向きについて、さらに詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

【お仏壇の向き(方角)について】各宗派推奨の向き、鬼門と仏壇の関係を紹介

真言宗のお仏壇への「仏具の飾り方」

お仏壇への仏具の飾り方においては比較的どの宗派も同じように飾ります。ですが宗派によって必ず変わるのは「ご本尊」と「脇侍」です。それ以外の「仏具」や「りん」などは少し特殊な宗派もありますが、真言宗は他宗派と大抵一緒だと思ってもらって構いません。

また基礎知識として「従来のお仏壇の飾り方」は花立てや灯立てなど全て1対(2個セット)で飾っていましたが、現在の「モダン仏壇」はお仏壇内のスペース上、基本的に1対で飾らずに1個のみです。本記事では現代のお仏壇のベーシックでもある「モダン仏壇」においての仏具の飾り方をご紹介していきます。

ご本尊の飾り方【真言宗:大日如来〈お仏壇上部中央〉】

お仏壇にもご本尊様があることにより「故人が仏の世界でもお守りされる」、また「生きている私達も守ってもらえる」と言われています。お仏壇本来の意味合い的にも、ご本尊様はお仏壇の中では、一番重要なものとされています。

大日如来は空海が日本に伝えた「密教」では最高の位にいる仏様とされ、大日如来は宇宙の真理を現し、宇宙そのものを指します。すべての命あるものは大日如来から生まれたとされ、すべての仏様(釈迦如来や阿弥陀如来etc)は大日如来が姿を変えたものであるというのが真言宗の教えです。

真言宗の本尊、大日如来をお仏壇に飾った画像

下記の画像のように「仏像タイプの本尊」と「掛け軸タイプの本尊」があります。基本的にどちらをお選びいただいても大丈夫です。

ご本尊のタイプ(仏像と掛け軸)

ご本尊のサイズのバランス参考

ご本尊はお仏壇中央の一番高い位置に飾るのが決まりです。また「ご本尊の高さ」は「お位牌の高さ」よりも高くする方が良いとされています。理想としては「ご本尊の目線の位置」より「お位牌の最上部」が下にあることが理想です。

ご本尊を飾る際のサイズのバランス

さらに詳しく知りたい方は

脇侍の飾り方【真言宗:左、不動明王・右、弘法大師(空海)〈お仏壇上部両脇〉】

お仏壇にもご本尊の両脇にはお飾りが丁寧な方は脇侍を飾ります。脇侍(脇掛や脇仏ともいう)は基本的にその「宗派を作った開祖」や、宗派を救ったり広めたりした「中興の祖」や「その宗派の教え」などを「掛け軸」などで飾ったりします。

真言宗の場合は左側が不動明王で右側が弘法大師(空海)となります。それぞれがどんな仏・僧侶であるかを簡単にご説明します。

真言宗の脇侍、不動明王と弘法大師を飾った画像

脇侍左の不動明王について

密教特有の尊格である明王の一尊。大日如来の化身とも言われています。怖い様相から「戦いの仏」と思われがちですが、迷いの世界から煩悩を断ち切るよう導いてくれる仏です。左手にもつ剣は大日如来の智慧の鋭さを表現し、右手の羂索は煩悩を縛り、悪の心を改心させる捕縛用の縄です

さらに詳しく知りたい方は「成田山のお不動さまとは(外部サイト)」をご覧ください。

脇侍右の弘法大師(空海)について

空海は、平安時代の初めに活躍した歴史の教科書にも登場する程、有名な僧侶です。「密教」という新しい仏教を学ぶために、遣唐使で唐(中国)に渡りました。この「密教」とは大日如来を敬う教えで、呪文を唱えたりする厳しい修行を行います。空海は、この密教をマスターし、日本で真言宗として布教しました。

さらに詳しく知りたい方は「弘法大師の誕生と歴史(真言宗総本山金剛峯寺:外部サイト)」をご覧ください。

【新義真言宗】は脇侍左に興教大師(覚鑁)を飾ることがあります

真言宗の中興の祖ともいわれる興教大師の覚鑁(かくばん)を脇侍に飾ります。(※寺院によって不動明王の場合あり)興教大師は平安末期の僧侶で、高野山の座主を務めていました。空海以来の秀才と言われるほどの僧侶でした。当時、荒廃していた高野山で争いが盛んになり、高野山を下りて根来寺を開山し、真言密教を復興させるために多くの真言僧侶の育成に尽くされました。

さらに詳しく知りたい方は「興教大師の生涯と業績(真言宗豊山派:外部サイト)」をご覧ください。

新義真言宗の脇侍、興教大師と弘法大師を飾った画像

お位牌の飾り方

宗派によってはお位牌を設けない宗派などありますが「真言宗はお位牌を必ず設ける宗派」です。以前の記事「【真言宗の位牌】の作り方」を参照の上、お位牌をお作り下さい。

【真言宗の位牌】の作り方、梵字の有無・戒名・俗名・年齢の文字の書き方

お位牌のサイズのバランスについて

お位牌がご本尊様の背を超えないようにお位牌を製作します。またご先祖様のお位牌の大きさが一番大きくなるようにします。

お位牌の高さは本尊を超えないようにします
もっと詳しく知りたい方は下記ページをご覧ください。

お位牌の並べ方について

お位牌の並べ方には決まりがあります。基本的に右側上段が1本目のお位牌の配置する位置となります。

お位牌の並べ方、配置の画像
もっと詳しく知りたい方は下記ページをご覧ください。

仏具の飾り方

仏具によって荘厳(しょうごん)して初めてお仏壇としての意味を持ちます。仏具はご本尊を供養するのと共に、ご先祖や亡き人を供養するためのものです。
お香を立てることも、お花を飾ることも、ロウソクに火を灯すことも、ご飯やお水をお供えすることと一緒で、仏様への「お供え」です。この5つのお供えを「五供(ごくう)」といいます。
仏具セットは上記の五供を基本にした5点セット+線香差しをプラスした6点セットが一般的です。

仏具の飾り方

ご飯のお供え方

ご飯はお仏壇中段の右側にお供えします。基本的には朝炊き立てのご飯を供えて、その後おさがりを頂きます。毎日お供えが大変という方は月命日やお盆・お彼岸・お正月など節目節目にしっかりとやられることをおすすめします。毎日食べ物に困ることなく生活できていることへの感謝を示す意味もあります。

お水のお供え方

お水はお仏壇中段の左側にお供えします。お仏壇に水をお供えする理由は、亡くなった方は常に喉が渇いている状態にあると考えられているからです。また、毎日食べ物や飲み物に困ることなく生活できていることへの感謝を示す意味もあります。水の代わりにお茶をお供えする方もいます。これは決まりはありませんのでお水でもお茶でも良いでしょう。

お花のお供え方

花立てに飾るお花は、花の芳香によって邪気をはらい、場を清らかにするという意味もありますが、美しい花を飾り、仏様に喜んで頂くという意味合いもあります。当店では水やり不要の「ブリザーブドフラワー」が非常に人気です。また合わせて「お仏壇に飾るおすすめのお花・飾ってはいけない花はありますか?」というQ&Aもご覧いただければ幸いです。

ロウソクのお供え方

灯立ては仏様の「知恵」を意味するローソクの明かりを灯すことで、あの世からこの世への誘導灯となり、架け橋の役目を果たしてくれます。線香の火はなるべくロウソクからつけるようにします。当店では「10分ロウソク」といったような短いロウソクを良く販売させていただきます。短い方が安全ですので是非ご検討下さい。

お線香(香炉)のお供え方

真言宗の正式な線香のお供え方は線香は正式には3本ずつ供えます。また立て方にも決まりがあり香炉のなかで逆三角形に置くのがポイントです。折らずに1本を手前、残りの2本を仏壇側に供えます。こちらが真言宗の正しい線香のお供え方法です。毎日行うのは大変かと思いますので法事や命日やお盆など節目節目ではしっかりとお線香をお供えするのも良いのではないでしょうか。
前香炉でたくお線香は「香食(こうじき)」といって香りは亡くなった方の食べ物であるとされています。天に上ってゆくお線香の煙が、この世とあの世を繋いでくれると言われています。お線香を差す部分は「従来の香炉灰(白い灰)」でも良いですが、天然石の「洗える香炉石」がエコで見た目も綺麗で人気です。またお仏壇周りも灰が飛ばずに綺麗になります。

仏具の香炉に香炉石を入れた画像

リンの飾り方

一般的に仏様にお線香をあげ、手を合わせる際の合図として使われる仏具です。飾る位置としては最下段の右側が良いでしょう。様々な種類のおりんがありますので、音色の美しさかデザインやカラーで決められて良いでしょう。選び方については「おりんの選び方」をご覧ください。

また「おりん」が響かせる音は、空間を清めて邪気を払うとされています。供養や祈りを「おりん」の音に乗せて、極楽浄土に届けるともいわれます。

おりんを飾る位置

【購入後】開眼供養について

お仏壇の「ご本尊」を新しく購入したら開眼供養(かいげんくよう)を行います。文字の通り、「本尊の眼を開く法要」です。なので、お仏壇を新しくしたら ではなく、ご本尊を新しくしたら 開眼供養を行います。(一部地域ではお仏壇に対しても行うようです)
タイミングとしては49日法要が控えていれば49日法要と一緒に開眼供養もしてもらいます。また49日法要を控えていない場合は、付き合いのあるお寺さんにお願いして随時、行います。さらに詳しくは下記の記事をご覧ください。

【開眼供養・入仏式】仏壇・位牌・本尊の購入後にする入魂の手順と熨斗袋

まとめ

真言宗の方でお仏壇をご用意される方は是非この記事をご覧いただいてからご注文頂ければ幸いです。
真言宗は日本の仏教の繁栄に関して、とても大きな影響を与えた宗派です。「真言宗を作った空海」と同時期に「天台宗を作った最澄」もいますが、両僧侶は日本仏教を大きく発展させました。最澄は空海に密教を教えてくれとお願いしていた背景から見ると真言宗の密教の完成度の高さが分かります。
今日のお仏壇という文化もこの両僧侶がいなければまた変わったものになっていた可能性も十分あるほどですので、そう考えると感慨深いです。
お仏壇でご本尊や脇侍といった仏様や僧侶を飾って毎日手を合わせるので、これを機会に詳しく知ってみるのも良いかもしれません。
この記事が皆様の大切なご供養のお役に立つことを願っております。最後までご視聴頂きまして誠にありがとうございました。

真言宗のお仏壇の飾り方、仏具の飾り方、お供えについて
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